一段と進む「欧米対ロシア」の対立
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一段と進む「欧米対ロシア」の対立
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プラスチックによる海水汚染の危機

機能不全に陥った国連

 
 

 
 


外国メディアが案内された爆撃現場

米国は化学兵器研究開発施設だとする一方、シリアは癌の研究施設だと説明。
 

 
 

 
 

 

機能不全に陥った国連の実体を語るグテーレス事務総長。

 
 

昨日、シリア軍が使用したとされる化学兵器に対する報復として、米国と英国、フランスが化学・生物兵器研究所や貯蔵施設など3ヵ所を空爆したことをお伝えした。 日本のマスコミも大きく取り上げているので、詳しくお伝えするつもりはないが、幾つかの点が気になったので、それについて記載させて頂くことにした。

その一つは国連の無力化である。 攻撃の後すぐに国連の安全保障理事会の緊急会合が開催され、ミサイル攻撃に参加した米国、英国、フランスの3カ国とロシア、シリアとの間で激しい非難合戦が行われた。 しかし、前向きの政策は何も決まらないまま散会するところとなってしまった。 化学兵器使用の実態についての国連による調査団の派遣も決まらなかったようである。

機能不全に陥った国連の実体についてグテーレス事務総長は、14日の緊急理事会で次のように語っている。 「欧米諸国とロシアの軍事的緊張は収拾出来ない状態に陥る恐れがある」。 この発言は決して聞き流しの出来る内容ではない。 先の冷戦状態以上に悪化して来ている現在の世界情勢が、これから先、第3次世界大戦へ向かうことになる可能性を示唆しているからである。

また、今回の米軍の報復攻撃を巡っては、中東の国々の中でも意見が2分され、中東各国の分裂が一段と鮮明になった点も気になる点である。 15日に開かれた21カ国によるアラブ連盟の首脳会議では、イラクやレバノンなどが「米軍などの攻撃はシリア危機の政治解決に貢献せず、さらに状況を複雑にするだけだ」と非難する一方、サウジアラビアやバーレーン、カタールなどは「アサド政権が罪のない市民に化学兵器を使った」として攻撃を全面的に支持。

 

勝者ロシアと敗者米国、鮮明に

 
 

 
 


ロシアの議員団がアサド大統領と面会、シリアの復興支援について協議。

 
 

こうしてシリア危機の解決に向けての国際間の協調の兆しが一向に見えない中、驚くことにシリアを支援するロシアは、反政府軍の最大の拠点であった東グータ地区の住民に向けて人道支援物資を搬入する一方で、廃墟と化した地区にブルトーザ―やトラックなどの建設機材を運び込み、インフラの整備を始め街の復興に取り掛かり出しているのだ

さらに昨日には、ロシア政府の与党議員団がシリア入りし、アサド大統領と面談するだけでなく、シリアの与党バース党の本部で復興支援についての実務協議に入っているのだ。 これまでシリア政府に軍事支援をしてきたロシアとしては、反政府軍やIS(イスラム国)の一掃後を見通して、インフラの復興を一手に引き受け自国の産業活性化に役立てようというわけである。

米国が2000人余の兵士の派遣経費負担が厳しく、兵士の撤退を押し進めざるを得なくなっている一方で、ロシアはこれからアサド政権と一体となって、自国の経済の活性化を目指して復興支援を行おうとしているのだから、なんともはや驚きである。 

こうして、ロシアがシリア内戦を政治的にも経済的にも自国に有利に進めようとしている一方、2001年の同時多発テロをきっかけにイラクやアフガン戦争に突入した米国は、どうやら真逆な結果に終わろうとしているようである。 

軍事産業界は莫大な利益を得たものの、国家財政は一段と厳しい状況に陥り崩壊直前、最後には何も得るものなく退却するところとなろうとしているのだ。 これが、カルマの刈り取りに向って進むことになる米国の運命なのだ。 遠からずして、ロシアもまた同じ道をたどることになるに違いない。

 
 

 
 


人道物資物資と復興のための機材を運びこむロシア部隊。
 

 
 

 
 


東グータ地区では既にロシア軍による復興活動が始まっている。

 

 




 

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