インドネシアの第二の都市スラバヤで何とも悲惨なテロが発生した。 現地時間の13日朝7時半ごろ、日曜礼拝が行われていた3つの教会で爆弾テロが発生し、礼拝中のキリスト教徒多数が殺傷されるところとなった。
悲惨なのは被害にあった礼拝者だけでなく、テロを行った犯行者もまた悲惨であった。 3つの教会で行われたテロは、子供4人と妻を含む6人の家族全員が身を呈して行った自爆テロであったからだ。
父親は爆発物を積んだ車で教会に突っ込み、16歳と18歳の息子たちは爆発物を積んだバイクで別の教会に入って爆発。 また9歳と12歳の娘を連れた母親はもう一つの教会の中に入り、体に巻きつけた爆発物を爆発。 6人の家族は全員、多くの被害者と共に飛び散る肉片と化すこととなったのだ。
この一家の父親がISの現地の担当者的立場であったようだが、家族を巻き込んでの犯行には驚かされた。ISやアルカイダなど過激派集団による爆弾テロは、今や世界各地で数え切れない程起きており、特にシリアやイラク、アフガンなど中東諸国では、もはや日常的な出来事と化して来ている程である。
今回の事件の起きたインドネシアの人口は2億5000万人。 その内およそ80%の2億人がイスラム教徒でキリスト教徒は1000万人、 最近、過激派組織による、テロが多発し始めていた。 数日前にはISによる犯行で警察官5人が死亡する事件が起きたばかりであった。
今回のテロが世界に衝撃を与えたのは、9歳〜18歳の子供を含む家族全員が身を呈した犯行であったという点である。 一家はイスラム教徒で殺傷の対象となったのはキリスト教のカトリックやプロテスタント教会であった。 そうした惨事を引き起こしている要因が宗教間、宗派間の対立で、その殺傷を行う場が「神の家」である教会であることを考えると、言葉を失ってしまう。
かっての宗教戦争と言えば、キリスト教とイスラム教、イスラム教とユダヤ教と言った宗教間の対立であった。 今回の自爆テロは宗教間の対立と思われるが、最近のテロは同じ宗教の中での宗派間の対立が多くなって来ている。 シリアやイラクにおけるテロの多くはそれである。
どの宗教も宗派もその基本にあるのは、愛と融和と助け合いである。 それなのにその宗教が憎悪と殺戮の発生源と化してしまったのだから、マホメットもイエスも仏陀もさぞかし嘆き悲しんでいるに違いない。 それにしても、なんとも恐ろしい世の中となってしまったものだ。 こんな状態がこのまま進むことになったら、この世はまさに「生き地獄」と化してしまう。 一刻も早い「時の到来」を願うのみだ。