またもや世界はトランプ大統領の発言に驚かされることとなった。 24日、大統領は来月12日に行われる予定であった米朝首脳会談を中止し、北朝鮮に対してはこれから先、最大限の圧力をかけ続けると発表。
10日にトランプ大統領が誇らしげに米朝首脳会談を発表してからわずか2週間。 その後、北朝鮮に拘束されていた3人の米国人の釈放や、北朝鮮のプンゲリ核実験場の爆破の発表を受けて楽観ムードが広がっていただけに、今回のトランプ大統領の発表は、世界を驚かすこととなった。 どうやらこれでノーベル平和賞は消えてしまったようだ(笑)。
それにしても、あれだけ友好関係を見せていたキム・ジョンウン委員長がここに来て、韓国と北朝鮮の閣僚会談を突然中止し、問題視していなかった米韓の軍事演習に突然クレームをつけるなど、米朝会談に向け態度が豹変して来ていたことには何か裏があったことは確かだ。
特に米国のペンス副大統領の「トランプ大統領をもてあそぶような言動は、大きな過ちになるだろう」とする発言に対して、「無知で愚かだ!」とまたもや暴言を発したことは、会談の先行きを暗くするものであった。
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ペンス副大統領の発言を受けて「無知で愚かだ!」だと反発するキム・ジョンウン委員長
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なにゆえ、キム・ジョンウン委員長があからさまに態度を豹変するところとなったのか?。 その疑問を解くキーは、2回目のキム・ジョンウン委員長の中国訪問である。 習近平主席との会談で、キム委員長は「米国のいいなりになる必要はない。毅然とする態度をとるなら中国は全面的に貴国を応援するだろう」とする発言を得たに違いない。
米朝の会談が成功裏に終わり、もしも北朝鮮が米国の支援を得て韓国を上回るほどの経済的発展を遂げることになったら、中国の影響力が消えてしまう。 これは中国にとって絶対に避けねばならないことだけに、習近平主席もかっては命を狙ったキム・ジョンウン委員長と友好関係を結ぶことに方向転換したものと思われる。
さてこれから先、米朝会談はどうなるか? このまま終わってしまっては、トランプ大統領もキム・ジョンウン主席も立場が無くなるだけに、再開に向けての水面下の交渉は続くことになるに違いない。 昨日、予告通りプンゲリ核実験場爆破は実施されたようであるが、この点については改めて記すことにして、これから先、交渉の決め手となるのは、米国が北朝鮮の核の完全放棄をあきらめるかどうかである。
以前から私が述べてきたように、キム・ジョンウン一族にとって米国を射程圏に入れたミサイルと核爆弾の保持は絶対に譲れない一線である。 3代にわたって開発を続け、手にした核とミサイルを手放すことは100%あり得ないことである。 今回、キム・ジョンウン委員長が唐突に2回目の中国訪問を行うことになった背景には、トランプ大統領が発表した「イラン核合意」からの撤退があったことは間違いない。
大統領が「キムジョンウン氏の安全を保証する」と約束しても、いつイランと同様に合意を破棄するか分からないことが、今回の「イラン核合意」からの離脱と、イランに対する史上最大の制裁措置の発表で実感したに違いない。
一連のトランプ大統領の発言の信頼性に対する疑問は、キム・ジョンウン委員長だけでなく、メルケル首相をはじめとする欧州各国の首脳やプーチン大統領も習近平主席もみな、同様に感じているはずである。 これから先も、世界の盟主たる米国の指揮官であるトランプ大統領が、身勝手でその場主義的な言動を続けるようなら、世界がますます混迷を深めることとなるのは間違いない。
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24日に行われたプンゲリ核実験場爆破の様子
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