イエメン、宙に浮く2100億円の支援金
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国連のグテーレス事務総長の発言はショッキングなものであった。
「5歳以下の子供は10分間に1人が死亡している」というから、
死者の数は1時間に6人、1日に140人を超していることになる。
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内戦で最大の危機に陥っている中東のイエメン。 「国際社会から見捨てられたイエメンの惨状」でお伝えしたように、世界から見捨てられた感が続いていたこのイエメンの窮状に支援の手を差し伸べようと、国連がグテーレス事務総長自らが先頭に立って、各国に働き掛けを続けてきた。
その結果、3日、スイスのジュネーブで我が国など40カ国が参加した「イエメン支援国会議」が開かれた。 その結果、20億ドル、日本円で2100億円規模の支援額が決まったようである。 このこと自体は大変喜ばしいことであるが、問題は紛争の終結の目途が全く立っていないことである。
今の状態が続き、国連や各種の支援団体が支援物資を運び込むことが出来ないのでは、支援を待ち望む人々にとっては何の助けにもならない。 今や食糧や医薬品を求めている人の数は、人口の3分の2に当たる2200万人に達しており、300万人近くが栄養失調に陥っている。 「5歳以下の子供は10分間に1人が死亡している」というグテーレス事務総長の言葉は、いつになったら改善されるのだろうか。
支援物資の搬入を困難にしているのは、搬送する道筋を全てサウジアラビアとその連合軍が抑えてしまっているからである。 一方海上からの搬送はイエメン南岸の港が政府軍によって包囲されているため、今唯一残されているのは、紅海に面したボデイダの港だけである。
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しかし、その港をめがけてサウジアラビアなど連合軍の空爆が今もなお続いているのだからお手上げである。 反体制派からのサウジアラビアのリヤドに向けてのロケット弾の発射に対抗し、昨日も激しい空爆が行われて、子供7人を含む市民12人が犠牲になっているのだ。
それでは何故、国際社会は代理戦争となっているサウジアラビアとイランに戦争終結を働きかけないのか? その要因の一つとなっているのは、イスラエル支援に傾注するトランプ政権の反イラン政策である。 イスラエルと対峙するイランを窮地に陥れるためには、宗派間対立が続くサウジアラビアにご機嫌をとっておく必要があるからである。
一方、イエメンの反体制派を支援するイランとロシアは急接近して来ており、ロシア、イラン、トルコの連合軍が作られようとしている。 そのためロシアは、イランの戦闘参加を抑えることが出来ないのだ。
こうして、大国やそれと手を組む国々の身勝手な考えによって犠牲になるのは小国であり、経済力のない人間や抵抗できない子供たちである。なんとも悲しいことであるが、これが今我々が住む人間社会の情けない実体なのである。 そして、その先に待ち受けているのは、さらに厳しい現実なのだ。
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イエメンの惨状
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反体制派がサウジアラビアに向けて打ち上げるミサイル。
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