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カルマの刈り取りに遭遇する東芝

 
 

 
 


原発事業の推進で債務超過に陥りそうな東芝。 記者会見する綱川社長 (日刊現代)

 
 

いま日本の経済界で最大の関心事は東芝の経営の行方である。 成り行きによっては倒産の可能 性も出て来ているからだ。 読者もご承知のように我が国のトップ企業の一つであった東芝は、2015年7月に不正会計問題が発覚し 、歴代3人の社長が揃って辞職するという前例のない事態になった。 その後、原発事業を再建の柱にしようと、米国の原子力会社S&W社を子会社化。 

ところが、その子会社が米国で原発建設を進めるために買収した原発建設会社が、数千億円の負債を抱えていたことが明るみとなった と言うのだから、泣き面に蜂だ。  福島第一原発事故をきっかけに、各国で原発の安全規制を厳しくする動きが強まり、追加工事や安全審査の遅れなどで原発の建設コストが大幅に高くなっていることが、赤字の要因だったようである。

一部上場 会社の役員として経営に携わってきた私にとって、買い取った子会社が数千億円の負債を背負っていたことに、気づかなかったなどと言うことは考えられないことだが、現実にそれが起きたのだから驚きである。 不正会計問題で幹部が動揺し 、急いで経営再建を図ろうと、まともなチェックが出来なかったのが要因だと思うが、それにしても信じ難い大失態だ。

東芝は福島原発事故で原発の恐ろしさを身をもって体験したはずだ。 その会社が経営の「再建の柱」に人類を滅亡に導く可能性の大きい原発事業を選択し、東芝の未来を地獄へと導いたということは、まさに因果応報としか言いようがない。 カルマは決して個人だけのものではなく、会社や国家にも適応されるのである。

2016年の決算で7087億円の営業赤字を出した東芝の株主資本は3632億円(16年9月)に急落している。 したがって、もしも子会社化したS&W社の抱える損失が4千億円以上だと、東芝は債務超過に転落することになり、へたをすると、上場廃止や倒産の可能性も出てくる。 原発事業といった国策事業を手がけている会社だけに、いずれ 国から財政支援を受け、政府主導で経営再建への動きが始まるのではと思うが、先行きははなはだ不透明だ。

 
 

 
 


福島原発2号機内部から、メルトダウンして格納容器を突き抜けた
核燃料が広範囲に散らばっている、恐ろしい姿が確認された。

 
 

安全基準の厳格化で、原発建設はいつどんなコストが発生するか分からないため、利幅が薄く、リスクも極めて高いビジネスになっ て来ている。 アメリカのGEやドイツのシーメンスといった巨大企業が次々と原発ビジネスから撤退しているのは、そのリスクを嫌ってのことである。 直近のニュースではニューヨーク市の近郊にある原発2機が、廃炉になることが決まったようである。

ところが、東芝を始め「原発御三家」と目される日立、三菱重工は未だに原発ビジネスから手を引かずにいる。 そんな日本企業を安倍政権は熱心にサポート し、原発プラントの輸出を、武器輸出と並んでアベノミクス成長戦略の柱にしているのだからおかしな話だ。 そんな愚かな日本企業と安倍政権は「ババ抜きゲーム」と化した世界の原発ビジネスで 、ジョーカーを押しつけられるところとなっているのだ。

数日前から、メルトダウンした福島第一原発の2号機の原子炉の下から、溶け落ちた核燃料と思われる黒い塊が発見されたことが、マスコミで大きく取り上げられている。 ぐにゃりと曲がった鉄格子、こびりついた塊。  カメラが写し出したその映像は想像を超える惨状であった。

いったん原発事故が起きたら、もはや人間の手ではどうにもならないのは、誰の目にも明らか。 原爆や水爆の恐ろしさと共にそのことを一番知っているのが我々日本人である はずだ。 しかし、いつになっても原発からは手を引こうとせず、安倍政権は各地の原発を再開させようとし続けている。 

そして「原発御三家」を引き連れて海外を回り、新たに原発を売り込もうとしてい るのだから、なんとも情けないことである。  これ以上海外に対する原発建設事業を展開することになれば、原発御三家だけでなく、我が国、我が民族そのものが大きなカルマを背負うことになる。 


脱原発を目指すドイツ 
 

 
 

 
 


ドイツでは蓄電池の小型化と低コスト化が進んでおり、
写真のような蓄電システムが進んできているようである。

 
 

そんな日本 とは対照的な動きを進めているのがドイツである。 2011年の福島原発事故を受けてドイツは「脱原発政策」を決め、その後6年、原発0を目指して廃炉が進める一方、再生可能エネルギーの開発を着実に進めている。 まさに 我が国とは愚者と賢者の違いである。

海上に設置された風車や屋根に取り付けられた太陽光パネル。 こうした再生可能エネルギーを利用する上で問題なのが、取り込んだエネルギーを「蓄電する技術 」である。 この蓄電の問題を解決しない限り、再生可能エネルギー政策は前に進まない。  電力の安定供給が出来ないたからだ。 

そこでドイツが今最も力を注いでいるのが「蓄電技術」の開発である。 ここ数年、国を挙げて開発を進めた結果、蓄電池の小型化と低価格化が予想以上に進んでおり、太陽光パネルと蓄電池の設置する家庭が増えてきている。 その結果、ドイツの発電量の割合は原発は13%と減る一方、再生可能なエネルギーが30%近くに達している。

 
 

 
 



 

 
 

 
 


ドイツでは今、風車の海底に海水のエネルギーを使った
発電装置を設置する研究が進められいる。

 
 

再生可能エネルギーの普及でもう一つ大事なことは「発電手段の開発」であるが、先般、 ドイツではいま興味深い取り組みが為されていることが報道されていた。 それは、海の風車の建ち並ぶ海底に 、直径30メートルの巨大なコンクリートのボールを沈めて発電する方法である。

電力需要が低い時には余剰電力で 球体の中に設置されたポンプタービンを回して、海水を外に排出。 反対に需要が高い時には、球体の中に 流れ込んでくる海水の力を利用してポンプタービンを回して発電する。 発生した電力は風車で得た電力と合わせて送電することになるようなので、なかなか合理的である(下図を参照)

この海水の出し入れで発電しようとするこの方法は、昨年11月に、実物の10分の1の大きさの3メートルの球体を使って実験が行われ、想定通りの発電量を確認できたとのことである。 これから先、 この球体発電地の実証実験を繰り返し、10年後の実用を目指しているようである。

こうして「原発0」を目指すドイツに対して、あれだけの恐ろしい原発事故に遭遇した我が国が、稼働停止となっていた原発を安全が確認されたとして次々と再開。 さらに官民一体で外国に原発を売り込んでいるのだから、なんと も愚かなことである。

以前、ドイツのメルケル首相が訪日された際、安倍首相に原発ゼロ化を真剣に検討した方が良いと忠告してくれたにもかかわらず、愚かな安倍は聞く耳を持たずに今もなお原発推進策を続けている。  新潟の柏碕刈羽原発の2基を動かすだけで年1000億円の増益が見込まれている為に何としても稼働させたいのだろうが、神国日本と1億の民を犠牲に してまで為すことではない。

このまま再開を進めていくなら、巨大地震や大型噴火がいつ起きてもおかしくない状況にあるだけに、この先に待ち受けているのは第二 、第三の福島である。 今、東芝はおのれの蒔いた原発推進という大きなカルマの刈り取りに遭遇しているが、安倍にもまた同じ運命が待っていることだろう。  一刻も早くそれに気づいて方向転換をしてもらいたいものである。

 
 

 
 



 

 
 

 
 


この直径30メートルの巨大な発電装置を風車の立つ海底に設置し、
風車に張り巡らされた送電網を使って送電することになるようだ。
 

 

 

 




 

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