日本時間の昨夜、ドイツのZDFはまたまたイスラエルの理不尽な入植活動に関するニュースを伝えていた。 イスラエル議会が6日、ヨルダン川西岸のパレスチナ人の私有地の上に、不法に建てられた数千棟のユダヤ人用の住宅について、イスラエル政府が土地ごと収容できるという法案を可決したのだ。
ヨルダン川西岸地域は国際的にはイスラエル、ヨルダン双方共、自国の領土とすることは認められていない。 しかし、イスラエルは一方的に力ずくで入植活動を始め、これまでにおよそ60パーセントの土地がイスラエル人のコントロール下に置かれており、既に43万人のユダヤ人が住んでいる。
しかし、その中には政府が認めたもの以外に、パレスチナ人の私有地であったことがはっきりしている土地に入植者が勝手に建設したものもある。 それゆえ、そうした入植地はイスラエルの法律上では強制撤去の対象となっているわけだが、それを今回の法案では、政府が土地ごと収容して、イスラエルのものにすることが出来るように合法化しようというわけである。
さすがにこのような人の道を外れた理不尽な行動に、イスラエル人が皆賛同しているわけではない。 法案には野党が激しく反発したようだが、議会で多数を占める右派の主張が通って、承認されたというわけである。 もちろんネタニヤフ首相が反対するわけがない。
しかし、イスラエル議会やネタニヤフ政権が認めた今回の措置はいつものことであり、目新しいことではない。 その都度、こうした行為は国際的に厳しく批判を浴びてきているわけであるが、聞く耳を持たないイスラエル政府は、力尽くで入植を続け、ヨルダン川西岸地区の60%を実質的にコントロール下において来ているのである。
そもそも、イスラエルが我が国土としている土地そのものが、第2次世界大戦終了時まではパレスチナ人が住んでいた土地であり、イスラエルはユダヤ財閥の巨大なマネーを武器にパレスチナから奪い取ったものである。 その後70年余にわたってイスラエルは、人道に反した勝手な振る舞いを続けて来ているのである。
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70年余の間にヨルダン川西岸地区の60%が、イスラエルの占領地と化してしまった。
(緑の部分がイスラエルのコントロール下の地域。 赤い点は100ヶ所を超す住宅建設地)
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加速化する入植活動の背景にあるもの
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ネタニヤフの人の道に反する理不尽な行動がこれからも
続くようなら、イスラエルの大艱難は遠からずやって来るに違いない。
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イスラエルの入植活動がこれまでにないスピードで加速化されてきている背景にあるのが、米国のトランプ政権の誕生であることは、既にお伝えしてきた通りである。
トランプ政権が発足した1月20日の2日後には、エルサレム市に560戸、更に24日にはヨルダン川西岸地域に2500戸の建設計画がエルサレム市やイスラエル政府によって承認されたことは、「動き出したトランプ政権の波紋」に記した通りであるが、その後、31日には更に3000戸の建設計画が承認されているのである。
こうした前例のないスピードで進む建設計画に加えて今回の法案可決は、パレスチナ人にヨルダン川西岸全体がイスラエルのものになってしまうのではないかという懸念を生じさせている。 フランスを訪問中のパレスチナ自治政府のアッパス議長は、オランド大統領と共に今回の措置に強く反発。 国連も土地の略奪を合法化するもので、国際法に反するものであると強く非難している。
ネタニヤフ首相は先のトランプ大統領との電話会談で、一連の行動に対する了承を取りつけたつもりでいるようだが、ここに来て、トランプ大統領はネタニヤフ首相を批判し始めている面も見えて来ているだけに、15日の両者の対談がどのようなものになるか注目である。
もしも、トランプ氏が対談でイスラエルの一連の行動に強く釘を刺し、在イスラエル大使館のエルサレムへの移転計画を思いとどまらないならば、彼はそう遠からずの内に、おのれの軽はずみな言動が取り返しのつかない事態を招くことになったことに、気づくことになるだろう。 しかし、その時ではすでに遅いのだ。 ハルマゲドンへの第一歩を踏み出す狼煙(のろし)を上げたことになるからである。
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パレスチナ自治政府のアッパス議長は、オランド大統領と共に今回の措置に強く反発。
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