混乱の度合いを増す「世界情勢」
合意なき離脱がもたらす、
かっての覇権国家・イギリスの衰退
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「合意なき離脱」となれば、これまで同じ国のように自由に行き来していた
状況が完全に終わり、通関手続きや関税が復活することになる。
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政治や経済面においてさして大きな問題もなく平穏な状況が続いている我が国であるが、いったん目を世界に転じると、米国、イギリス、香港など多くの国で、国を揺るがす様々な問題が発生し、混乱状態はますますその度合いを増すばかりである。
中でもいま最も厳しい状況と化しているのは、イギリスと香港。イギリスではEU(欧州連合)からの離脱の期限が3週間後に迫る中、EUとの間の離脱に関する条件が決まらない状況が続き、このままでは「合意なき離脱」となる可能性が日に日に大きくなって来ている。
先般、新しく登場したジョンソン首相が離脱協定の不合意の最大の要因となっている北アイルランド問題について、一定の期間、EUのルールに従って通関手続きや関税措置を行うという提案を行ったものの、この提案に対して今のところEU各国は受け入れる姿勢を示していない。
合意が達成できたとしても、ジョンソン首相率いる与党・保守党は議会で過半数を失っているため、議会の承認が得られない可能性が高い。イギリスではこうした先の見えない状況はこれから先も続き、どうやら、10月末には「合意なき離脱」というイギリスにとって最悪の離脱劇が現実となりそうである。
もしも、そうなったらイギリスはどうした事態に陥るか? 「合意なき離脱」の最も大きな被害を受けるのは産業界で、なかでも英国最大の輸出量を誇る乗用車製造業であるといわれている。輸出車に対して10%の税金が課税されるため、大手企業から下請けまでその受ける悪影響は甚大となりそうである。現に自動車関連企業における今年の設備投資は、昨年比4分の1にまで落ち込んでいる。
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イギリスとフランスを結ぶ「ドーバー海峡」トンネルを通ってトラックが国境を
通過するには通関手続きで、2日半を要することになりそうだというから大変だ。
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産業界全体でも4〜6月のGDP(経済成長率)はマイナスと化しており、イギリス中央銀行はもしも「合意なき離脱」となった時には、GDPを5.5%押し下げることになると予測している。この数値の大きさは先のリーマンショック時を上回ることになることから、イギリス経済の受ける打撃が尋常でないことは確かである。
このまま
進展のない状況が残り3週間続くことになるようなら、どうやら、かっての覇権国家イギリスは、先進国の中で最も厳しい状況に陥り、我々は大英帝国の末路を見ることになるかもしれない。それはまさに「国家のカルマ」の刈り取りがもたらす結果ということになりそうである。
そのイギリスの後を追うことになるのは、トランプ政権下で国論が2分されている米国。ブッシュ親子によって崩壊させられ、今もない多くの死傷者を出している紛争やデモが続くイラクやアフガニスタンの惨状を見れば、そのカルマの刈り取りがいかなるものとなるか想像がつこうというものである。
また新たな覇権国家を目指す中国も、混乱を極めている「香港の情勢」いかんでは、厳しい状況と化す可能性はゼロではない。いずれにしろ、これから先、世界の経済の崩壊と政治の混乱は、今後ますますその度合いを増して来ることになりそうある。
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「合意なき離脱」となれば、覇権国家の首都ロンドンの街は
これから先、次第に活気を失うことになりそうである。 (「ワールドEYES」)
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