中国の通信機器大手・ハーウェイ(HUAWEI)に対する禁輸措置による米中間の貿易戦争が本格化してからはや半年。その影響は米中だけでなく世界各国に広がり、いまや世界中が景気減速に陥っていることは、読者もご承知の通りである。
そうした状況下、米国政府は中国に対して新たな禁輸措置を発動する事態となった。今回は中国西部の新疆ウイグル自治区に住むウイグル族に対し、顔などの認証システム(AI人口知能)を使った残虐な抑圧的行為に対する報復措置である。
取引の禁止措置の対象となっている代表的な企業は、監視カメラの技術を世界的に提供しているハイクヴィジョン(Hikvision)社やダーハ(Dahua)社など中国企業28社と、政府機関などである。中国政府はすでに1億7000万台の監視カメラを使って国全体の監視を続けているようである。
米国の今回の禁輸措置に対して中国政府は早々に反発。外務省報道官は「新疆ウイグル自治区で人権問題などは全く発生していない」「米国は直ちに間違いを正し、措置を撤回して中国の内政への干渉をやめるよう求める」とする談話を発表している。
今回の米国による禁輸措置の発動で心配なのは、間もなく行われる米中閣僚級交渉の行方である。中国政府の対応によっては会談は厳しいものとなり、
今月15日から中国からの2500億ドル(約27兆円)の輸入品に対する関税が25%から30%にアップするタイミングだけに、米中の貿易戦争がさらに拡大し、世界的な経済の低迷を一段と強めることになりはしないかと気になるところである。
そうした問題とは別に気になるのは、監視カメラなどによる監視体制は、今や中国・ウイグル自治区だけでなく世界中で行われているだけに、カメラにとらえられた我々の映像も人権を無視した行為に使われる可能性が大きいという点である。
こうした映像による監視体制と同時に、カード決済の奨励によってカードによる支払いが増えれば、データーはすべてスイスにある巨大コンピューターに保存され、我々の行動の一部始終が掌握されてしまうことになる。そうなれば、恐ろしいことだが我々を奴隷として利用しようとしている「闇の勢力」の思うがままである。