混乱の度合いを増す世界情勢
イギリスのEUからの離脱問題、ますます不透明に
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19日に何十年ぶりに行われた「土曜日の議会」。
しかし、修正案の審議さえ行われず採決は先延ばしとなってしまった。 |
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今日も又、世情が日に日に混乱に向かう厳しい情報を掲載するとこととなった。混乱が続く世界情勢、中でも先行きの目途が全く立たない状況が今もなお続いているのが、イギリスのEU離脱と香港の政府への抗議デモである。
イギリスのEU(欧州連合)からの離脱については先般、修正された離脱案がジョンソン首相とEUとの交渉で承認された。そして、19日には、この承認案を承認するためイギリスでは極めて珍しいことであるが、土曜日に議会が開催されることとなった。しかし、法案の審議は先送りとなり、今週改めて採決されることになってしまった。いかに内部分裂が激しくなっているかが分かる事態である。
離脱の期限である今月末まで残された日数はわずか10日、ジョンソン首相の率いる与党が過半数に達していないことから審議の行方は全く不透明で「合意なき離脱」となる可能性も多分にありそうである。
こうした事態に市民はいら立ち、議会の外ではEUへの残留を求める大規模デモも発生しており、イギリスの国家の先行きそのものが、一段と不透明感を増す事態となって来ている。いら立っているのはイギリス国民だけでなく、EU議会も2度にわたる延期にへきへきしており、イギリスに対する信頼感が日に日に薄れて来ている。
いずれにしろ、イギリスの国論が二分されているために、この先、どのような結果が出ようとも、政治的、経済的にイギリスの混乱が続くことは、避けられそうになさそうである。残念なことであるが、これが長年にわたって世界の覇権国家として君臨してきた大英帝国の末路なのである。
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離脱の条件が審議されようとしている議会の外では、EUへの残留を求める
離脱そのものに反対する大規模デモが行われていた。 (イギリス BBC)
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香港、政府への大規模デモ収まる気配なし
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昨日のデモには、禁止の覆面を着用した若者たちが参加していた (香港TV)
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一方、香港の混乱も一向に収まる気配がなく、政府に対する抗議デモは5カ月経った今も連日のように続いており、その規模は激しさを増すばかりである。そのため、政府は法案の審議など全く行うことが出来ない状況にあり、有名な商店街もデモの起きるたびに戦場と化している。
デモ抗議の内容は、当初は香港における犯罪者を中国に引き渡すとする「逃亡犯条例改正案」に反対するものであったが、その点については林鄭(りんてい)長官による撤回表明でデモは鎮静化するかに思えた。しかしその後に、デモ参加者が顔を隠す行為を禁止する新たな法案を打ち出したことで、反政府運動はさらにエスカレートするところとなってしまったのだ。
穏健な抗議デモも一部では行われているようであるが、若者たちが行うデモは武力を伴うものであるため、警察との武力衝突による混乱の度合いは増す一方で、今や香港には憎しみのエネルギーが渦巻いているようである。若者たちが狙う主な先は地下鉄の駅、警察の建物、中国の出先機関となっており、放火と破壊行為が繰り返し行われている。
これに対して警察官からは催涙弾やゴム弾が発射されているため、一歩間違うと新たな死傷者が発生する可能性が大きく先行きが心配である。それと同時に、海外から進出している企業の香港からの撤退も一部始まっているようなので、デモの経済界に及ぼす影響も心配である。
また一方で、米中の対立が続く中、デモ行為はそれを支援する米国と中国政府との対立の火種となることも懸念されている。トランプ大統領にとって、香港のこれ以上の混乱は対中国への制裁の材料となるからである。
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火を放つデモ隊
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デモ隊にゴム弾を発射する警察官
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