米軍、シリアでバグダディーを殺害
IS(イスラム国)指導者の無残な最期
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今年放映されたバグダディー指導者の映像。
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米国のABCニュースは今朝のニュースで、IS(イスラム国)の創設者であり指導者とされてきたバグダディーが、シリア北西部の隠れ場所で殺害されたことを伝えていた。彼の消息については2年前のロシア軍による攻撃で死亡したとするニュースが流されて以降、何回かその生存を伝える情報が流されて来ていた。
今年に入って4月9月には彼の生存を伝える情報が流され、米国からは2500億ドル(27億円)の懸賞金までがかけれる事態となっていたことは、読者もご存じの通りである。
今回はトランプ大統領自身がホワイトハウスのモニターで、米軍の特殊部隊が行ったバグダディー殺害の軍事作戦の生の映像をペンス副大統領やエスパー国防大臣らと一緒に見た後に発表された情報だけに、間違いなさそうである。
バグダディー指導者は2010年ごろISの前進組織の指導者となり、2014年にはイラクとシリアにまたがるイスラム国家(IS)を樹立してカリフに即位。それ以降5年間にわたって、中東各地に戦闘員を生み出してジハードと呼ばれる聖戦を繰り返し、世界にテロの脅威を拡散して来ていた。
しかし、今年4月にはISはほぼ消滅状態となり、シリア北部のクルド人勢力のもとに2000人を超す戦闘員が収監されるところとなっていた。どうやら、バグダディー指導者は4月の戦闘以降シリアの砂漠地帯に逃れて、3人の子供や2人の妻たち、それに親衛隊員を引き連れて潜伏していたようである。
そうした情報を入手した米軍特殊部隊が27日現地時間の深夜に8機のヘリコプターまで動員して、その住処を攻撃。
最後は地下トンネルに逃げ込んだ後、バグダディー自身が自爆用の爆弾に点火し家族ともども死亡したようである。
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ウサマ・ビン・ラディンの殺害時と同じように、ホワイトハウスの一室で
バグダディー殺害の実況中継を見るトランプ大統領と関係閣僚たち。
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トランプ大統領は「今回の戦闘は米国にとって偉大な勝利であり、これでバグダディーによる残虐な支配は終わり、世界はまた安全になった」と語っていたが、もともとISが誕生した裏には、中東情勢を混乱に陥れるためにイスラエルと米国の親イスラエル勢力がいたとされていただけに、何をいまさらという感じである。
読者は米国における同時多発テロの首謀者とされたウサマ・ビン・ラディンが、米国海軍のテロ特殊部隊によって中東で殺害されたことを記憶しておられることだろう。米国に呼ばれ教育を受けた後、中東に派遣されてテロ組織の指導者として中東一帯に混乱をもたらし、その後、必要がなくなったとして米軍によって殺害されたという点では、バグダディーもウサマ・ビン・ラディンも一緒である。
今回のトランプ大統領の発言で気になったのは、「今回の作戦で、ISの起源(IS誕生の経緯)や将来の計画に関する極めて気密性の高い情報を入手することが出来た」とする発言であった。もしかすると、その中にはISの創設の真相が含まれている可能性があるだけに注目である。しかし、イスラエル寄りの大統領だけに、真相開示は難しそうである。
同時多発テロ発生以降、20年近い歳月が経過し、混乱を極めた中東情勢がロシアの登場で落ち着きを取り戻しつつあることは、先般「中東で急速に存在感を増すロシア」でお伝えした通りである。
これから先、もしプーチン率いるロシア軍が中東の一部の国を引き連れてエルサレムの地に立つことになるようなら、バグダディーとウサマ・ビン・ラディンを使って犯してきたイスラエルと米国の一部の勢力のカルマは、その時、刈り取られることになりそうである。
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バグダディー殺害に向かって飛び立った8機ヘリコプター。 (ABCニュース)
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バグダディーたちが潜伏していたシリアの跡地。
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