ロックダウン(外出禁止令)がもたらす悲劇
途上国の貧困層を失業と困窮が直撃
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インドではロックダウンによって失業者が急増。 街は地獄と化している。 |
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世界の感染者が150万人を突破し、死者の数も間もなく10万人に達しそうな勢いの新型コロナウイルス。各国で始まっているロックダウンと呼ばれる封鎖措置によって、特にインドや南アフリカなどの発展途上国において、様々な問題が発生している。
人口が13億人を超すインドでは、先月25日から全土で封鎖が始まっているが、その結果、経済活動がストップしたため多くの出稼ぎ労働者が一斉に失業状態となり大混乱。街では住む家を失った人々が路上生活を強いられる一方、交通網がストップしたため、家族を連れて故郷へ帰る人々は荷物を抱えて数百キロの道を歩くことになっており、先日のニュースは死者も出ていることを伝えていた。
そうしたこともあって、数日前から一部の交通機関が運航されることになったが、今度はターミナルが帰省客であふれた人、人で満杯。このような人同士が押し合うような状況の中で何時間もの間、電車やバスを待っていては、感染防止には逆効果。かえって封鎖によって感染が拡大する事態と化しているようである。こうして感染した人々が帰郷しては、田舎の町や村で感染が拡大することは必死で、これから先、インド各地で新たな悲劇が始まりそうである。
前回、「新型コロナウイルスの危機迫るアフリカ」でお伝えしたように、これから先一番心配されるのがアフリカ諸国での感染拡大である。南アフリカ共和国では公表されている感染者数は1845人、死者数は18人となっているが、都市部以外に住んでいる貧困者にはほとんど感染チェックが行われていないことを考えれば、実際の数値が桁違いとなっていることは間違いない。
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失業し郷里に向かう人々は重い荷物を背負って何百キロの道を歩くことなる。
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一部の交通機関が運航した結果、ターミナルは
人、人でごった返し、ウイルス感染の温床と化してしまった。
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職を求めて家を出なければ、家族が飯を食っていけない状況に置かれている人々にとって、家に閉じこもっていることなど出来るわけがない。したがって、こうした人々が暮らす街でいったん感染者が出たら悲劇である。あっという間に感染者が広がってしまい、治療を受ける手段も持たない人々の惨状が目に浮かぶようである。
そうした点とは別に私が恐れていたのが、ロックダウンによって略奪行為や暴動が発生しないかという点であった。昨日のニュースはその恐れが現実となっていることを伝えていた。南アフリカの首都であるケープタウン近郊の街で、憂さ晴らしに飲むアルコールが手に入らなくなったことから、酒類販売店に多くの人々が押し寄せ、略奪する事態が発生していたのである。
こうした行為は、これから先ロックダウンによって、貧困層の失業状態が長引くことになれば、ますます増えてくることは避けられないだけに、街全体の治安の悪化が一段と増してくることになりそうで心配である。これから先、ますます増えてくるこの種のニュースを想像しただけで、心が痛む。
こうした動きは、一歩間違ったらニューヨークやパリ、ロンドンなどの大都市でも発生する可能性もあるだけに、1日も早くコロナウイルスの終息を願わずにはいられない。それにしても、なんともはや、恐ろしい世の中となったものである。
近くを散策している最中、何事も起きていないかのように、夫婦そろって畑仕事に励んでいる爺さん婆さんの姿を見ていると、田舎暮らしの幸せを感じる。東京や大阪などの都会で暮らしておられる皆さん、どうぞ暗い気持ちに陥らないように、笑いのある日々をお過ごしください。
つらい気持ちになったら、インドや南アフリカの苦しんでいる人々のことを思い出して下さい。 今回の記事が少しでもお役に立つことを願っています。
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南アフリカでも失業者が急増
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「ウイルスで多くの人々が死んでいて心配です。でも、
政府が外出を禁止しても守るのは不可能です」と語る主婦。
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