ミネソタ州のミネアポリスで白人警官に首を押さえられて、黒人のフロイド(46歳)さんが亡くなって昨日で1週間。差別への怒りのデモは日に日にその規模を増し、31日から1日にかけて40の州の140を超す都市で行われる事態となった。
なんといっても驚いたのは、今朝の米国・ABCテレビが伝えていたニュースであった。それは、首都ワシントンのトランプ大統領が居住し、執務を行うホワイトハウス前で行われた1000人を超す大規模なデモで、火がつけられ、車は倒され無政府状態と化した光景であった。この騒動で、大統領は一時的に地下に避難した後、住まいを一時、シカゴに移すところとなったようである。
なぜ、デモが首都ワシントンまで飛び火し、神聖な場所とされるホワイトハウス前で過激な行為が行われることになったのか。それは、今回の抗議デモに対する大統領の挑発的な言動が黒人だけでなく白人の心をも傷つけることとなったからである。
ミネアポリスのデモに参加した人々を「チンピラどもめ!」と呼び「略奪が始まれば、銃撃戦となるぞ!」と発砲を示唆する暴言。また、ホワイトハウス前に集まったデモ参加者に「敷地内に入れば凶暴な犬と恐ろしい武器が待ち構えているぞ!」と脅し発言。その挙句、デモが激化すると地下室に避難
しているのだから情けない。
今回のデモが全国規模に拡大したことの背景にあるのは、コロナ騒動で4000万人が職を失い、多くの人々が家を追われ、食事もままならない状況と化して来ていることである。その中心となっているのが黒人やヒスパニック系の貧困層であることは、読者もご承知の通り。
それを考えたら、今回の白人警察官による黒人に対する殺人的行為が、一歩間違ったら大変な事態にまで発展することを、一国の大統領ともあろう人物が分からないようでは話にならない。それなのに、事件後に大統領がツイートで発信するメッセージでは、黒人に対する差別を露わにし、支援に回る州知事をバカ呼ばわりしているのだから、どうにもならない。
今回のフロイド氏に対する殺人行為と大統領の言動に対しては、多くの国民が憤りを感じていることは間違いない。それだけに、今回のデモ行為に職を失った4000万人の人々の不安と不満が結び付くことになるようだと、取り返しのつかない事態を招くことになる可能性は決して小さくなさそうである。
もしかすると、今、米国に襲い掛かろうとしている「ウイルス・失業・暴動」の三重苦は、米国に降りかかる「最後の天罰」の
先駆けとなるかもしれない。