北朝鮮、南北事務所を爆破
一連の異常な動きの裏にあるものは
昨日午後2時50分頃に爆破された北朝鮮にある南北共同連絡事務所
(ロイター)
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建物は15億円をかけて建造された立派な建物であった。
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昨日、北朝鮮にある南北共同連絡事務所が北朝鮮によって爆破される事態が発生した。この事務所は南北の融和の象徴とされて来たもので、2018年9月に北朝鮮内の土地に韓国が建設費約15億円を負担して建造したものである。写真を見てもらえればお分かりの様に立派な建物で開設以来、南北の関係者が常駐して来ていた。
その建物が爆破されるという今回の行為は南北の融和ムードを打ち壊し、対決の時代に戻すことになるだけに、北朝鮮がなぜそこまですることになったのか戸惑いを感じるところである。公式な理由としては、北朝鮮からの脱北者団体による、キム政権に対する体制批判のビラの散布を許した韓国政府への抗議行動とされているが、ビラ散布はこれまでにも何度も行われて来ていただけに、得心のいかない面がある。
私は今回の破壊行為には隠された裏の事情があるのではないかと思っている。その一つとして考えられるのは、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長の体調の問題である。読者もご承知のように、主席は今年に入ってしばらくの間、その行動が表に出ることがない日々が続き、世界のマスコミも注目するところとなった。
その後明らかになったのは、委員長は体調を崩し首都から遠く離れた場所で静養していたと、いうことであったが、その詳細は明らかにされないままであった。委員長のその後の動きの中で私が気になっていたことが何点かあった。その一つは、重要な会議の最中に主席の姿が映像に写らないことがあり、体調が完全に回復されていないのではと思えたことであった。
それと同時に、主席の実妹であるキム・ヨジョン(金与正)氏を党の第一副部長の要職に就かせたことも、気になる点であった。そうした措置はもしかすると、金正恩委員長の体調不調が再発する可能性があるため、自身の後継者としての地位を急いで妹に与える必要性が生じたのではないかという点である。
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急遽、表舞台に登場し権力者としての言動を始めたキム・ヨジョン(金与正)氏。
キム・ジョンウン(金正恩)氏に代わって主席の座に就くことになるかもしれない。
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北朝鮮は金日成、金正日と代々、金一族によって統治されてきた。それは、金一家にとって絶対的に守り通さねばならないことであった。それだけに、体調面で不安を感じた金正恩委員長にとって、万が一のことを考えた時、妹の金正恩氏を急いでバトンタッチ出来るだけの要職に就かせ、国政を動かす力を国民に見せておく必要が生じたのではないだろうか。
第一副部長の要職に就いた以降の彼女の動きを見ていると、これまでの控え目な行動から一転して積極的に表舞台に登場し、米国や韓国の行動に厳しい批判を発するようになっていることがよく分かる。今回の南北事務所の破壊を予告したのも彼女で、金正恩主席は一切表に出ていない。
この様なことはかってないことだっただけに、その裏には何か大きな動きが隠されているように思われる。もしかすると、委員長の後継者がキム・ヨジョン(金与正)氏であることをはっきりさせるために、遠からずして彼女の口から、海上の軍事境界線に当たる北方限界線における軍事的行為が発表されることになるかもしれない。
いずれにしろこれから先、韓国政府はキム・ヨジョン氏の言動には要注意である。最新式の短距離ミサイルが飛んでくる可能性も十分にあり得るからである。どうやら、韓国の文在寅政権は、もはや70年も前の慰安婦問題などぶり返して、日韓関係を悪化させている時ではなさそうである。
また、強力なミサイルが飛んでくる危険性は我が国も一緒である。まさかとは思うが、金一族による政権を維持するためなら、いかなる行為も辞さない可能性があるからである。
それにしても、我が国においてはこのタイミングで、そうしたミサイル攻撃から国民を守るために配備された、陸上配備型迎撃ミサイルシステムの「イージス・アショアー」に問題が生じ、その配備計画を中止することになったのは、なんともはや皮肉なことである。
日本の政府や自衛隊幹部は国土防衛の任務を真剣に考えているのだろうか、と不安になってくる。
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韓国や我が国に向かって飛ぶことになるかもしれないミサイル。
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