世界各国に拡散し、感染者数を拡大し続けている新型コロナウイルス。とうとう全世界の感染者数は391万人、明日にはは400万人突破のニュースが世界中を飛び回ることだろう。日々の増加数が10万人近くに達していることを考えると、今月末には600万人を超えることは間違いなさそうである。また、死者数は27万人となっており、月末には30万人に達しそうである。
国別でみた時、今もなお飛びぬけた数値を出し続けているのが米国。感染者数129万人、死者数7万7000人は世界全体の30%近くを占めている。世界の覇権国家である米国に対して、かっての覇権国家であったイギリスも負けじとその後を追っている。どうやら両国とも終末を迎えて
、長年にわたって積んできたカルマの刈り取りに入っているようである。
イギリスは当初ヨーロッパの中では感染者数、死者数共に少ない国の一つであったが、ここにきて一気にその数を増し、昨日の時点で感染者数はスペインとイタリアに次ぐ3番手で20万人、死者の数は両国を抜いてヨーロッパでトップの3万人に達した。
人口は我が国の半分ほどしかないというのに、死者数がなんと53倍に達しているのだからから驚きである。
次に注目すべき国はロシア。ここにきて感染者の増加数は1日当たり1万人を超えて来ており、累計数も18万人に迫る勢いである。これから先もこの勢いが続くようなら、10日ほどしたらスペインやイタリアを超えて米国に次ぐ2番手となりそうである。
更に気になるのが、終焉に向かっているとされていたスペイン、イタリア、フランス、ドイツで感染者数と死者の数が再び増えてきている点である。昨日の数値を見ると、感染者の増加数はスペインは3173人、イタリアは1400人、ドイツは1270人、フランスは600人。死者数も117人から274人と3ケタ台に達している。
こうした状況下で心配なのが経済に及ぼす影響である。各国とも厳しい状況に陥っていることには変わりなく、ギリギリの状態に刻々と近づいているようである。そうした状況を受けて、米国、フランス、ドイツ、イタリアでは、外出禁止令が部分的に解除され
、職種によって店舗や工場がオープンし始めている。
こうした動きが始まっている中で特に気になるのは、やはり米国である。米国では80%近い43の州で外出や経済活動の規制緩和措置が取られることになったが、その中には、今もなお感染が拡大しているアイオワ州やミシガン州、ラスベガス州、ウィスコンシン州など19の州が含まれているからである。
何故、こうした措置を取らなければならなくなったかというと、失業者数の急増である。発表された失業保険の申請者数はこの1週間だけで317万
人、7週間の合計では、なんと3300万人を超えており、その数は労働人口の5人に1人、つまり失業率は20%に達しているようである。更にラスベガス
のように25%を超えている都市もあるようなので、まさに今、米国は大恐慌以来、最悪の状態に陥っていることは間違いなさそうである。
ここまで厳しい状況に追い込まれたら、州知事としては規制緩和に踏み込まざるを得ないというわけである。「人の命」は大事であるが、今はそれ以上に「マネー」を重視せざるを得ない状況と化して来ているわけである。
我が国も外出禁止令が発令されて以来1カ月半ほどになるが、未だそこまで切羽詰った声は聞こえて来ない。
なぜだろうか? 疑問に思ったので、米国在住の方にお聞きしてみたら、「米国人は裕福な生活をしていますが、現金を持っている人が少ないからだと思いますよ」とのことであった。
どうやらカード決済が日常化している米国では、月々のローン決済が定着しているため、失業状態が2カ月、3カ月と続いたら、全てを手ばさなければならなくなる人が多いようである。もちろん我が国においても同様な人達もおられるが、その比率は桁違いであるというわけである。
もう一点、規制緩和に踏み込まざるを得なかった理由は、黒人やヒスパニック系ら貧困層の多い地区で感染者が多発していることである。こうした地域では多くの人々がその日暮らしをしているため、1週間どころか1日1日が勝負で、何日間も家にこもっていることなど出来ないのだ。米国が抱えて来た貧富の格差が今、米国社会と経済を窮地に陥れようとしているのである。
問題はこうした厳しい状況下で、外出禁止令が解除されて運輸、建設、サービスなどの職種が営業を再開した後、再び感染者数や死亡者数が急増するようになった時である。私はその確率は高いのではないかと思っているが、もしも、そうなった時には、その先に待ち構えているのは
集団デモなどではなく「暴動の発生」である。
私がかねがね伝えてきたように、米国が銃社会であることを考えると、心配の度合いが一段と増してくる。これから先、銃の乱射による恐ろしいニュースが流れて来ないことを願っているが、米国が背負ったカルマを考えと楽観視は出来ないようである。