とうとう世界の感染者数が1000万人を突破
米国では1日の感染者増が4万7000人に
多くの国々において外出禁止令が解除され、一部の街や観光地は賑わいを見せ始めているが、世界各国の感染者数と死者数は一向に収まる様子がなく、国によっては1日の増加数が記録的な数値となっている。その結果、とうとう世界全体の感染者数が1000万人を超え、死者数も50万人を超えた。
そうした中で気になるのは、米国の感染者数とイギリスの死者数である。米国では最大の発生源となっていたニューヨーク州では減少傾向が続いているが、カリフォルニア州やテキサス州など30の州では増加しており、集中治療室がほぼ満床状況となっている。
また、1日の増加数はピーク時と言われた4月の3万8000人を超えて、26日は4万7224人、27日も4万3408人と4万人を超える状況となっており、その結果、累計の感染者数は世界の4分の1となる260万人に達している。
またイギリスの死者数もヨーロッパ各国の多くが一桁台に減少してきている中、昨日の死者数は100人を超しており、累計の死者数4万3514人は米国、ブラジルに次ぐ3番手で、人口比で見るなら、米国やブラジルの2倍近くに達している。
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先日、IMFが発表した2020年の成長予測率。
世界全体では、先の予測からさらに1.9%下がって
マイナス4・9%という記録的な数値となった。
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こうした傾向を受けて、WHO(世界保健機関)は「北米も南米も未だ感染のピークを迎えていない」として警戒を呼びかける一方、国連のグテーレス事務総長も「ウイルスが我々を屈服させようとしている中、我々の闘いは効果が上がっておらず、感染は広がり続けている」と先行きに対する強い懸念を表明している。
また、先日IMF(国際通貨基金)は今年の世界全体の経済成長率を−4・9、米国は−8・0%、ユーロ圏では−10・2%という厳しい数値を発表しており、我が国も−5・8%まで下がりそうである。この様な数値は過去に何度も出ている数値でないだけに、こうした状況が現実となった場合には、年末には世界経済が混乱状態に陥る可能性は避けられそうもなさそうである。
ただこうした状況も、第一次世界大戦中の1918年に始まった「スペイン風邪」に比べれば、まだ、まだ物の数ではない。「スペイン風邪」についての発生時期が戦時中であったため、感染者数や死者数は確かなことは分かってはいないが、推定では感染者数はおよそ5億人、死者数は1億人ぐらいではなかったかと推定されている。
つまり、現段階ではコロナウイルスによる被害は「スペイン風邪」に比べて、まだ50分の1程度というわけである。しかし、逆に考えると、これから先、ワクチンや治療薬が開発されない場合には、被害は現在の50倍にまで達する可能性もあり得るということになるのだ。
気になるのは、コロナウイルスで懸念されている第二波、第三波が、スペイン風邪でも発生しており、第二波の死亡率は第一波に比べて10倍ほどになっていた点である。WHOや多くの医師の方々が第二波、第三波の発生を心配しているのは、そうした100年前の歴史に基づいているようである。
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経済の悪化や失業者数の急増を反映していない米国の株式市場。
こんな異常な状況が、いつまで続くのだろうか?
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こうした点を考えると、第一次感染が終息に向かっていない現時点で、国家間の往来が再開されようとしていることに対しては、不安を感じる。しかし、ロックダウンが再開され、州や都市間の行き来や国家間の往来が再びストップされることになれば、経済活動の停滞は避けられない。
そうした状況に陥った時に発生するのは、「失業者」の急増である。米国などでは路上生活者が急増し、うっかり街中に出かけられない状況となるかもしれない。ところが、不思議なことに、経済の先行きを読むはずの世界の株式市場の様子を見てみると、そうした状況を無視した状況が続いている。
一旦は25%近く下落したものの、すぐに盛り返して現時点では10%減まで回復している。それどころか、米国のナスダック指数(インターネット関連企業を中心とした株価指数)においては、10,000ポイントを超えて史上最高値を更新している。そうした数値は現在の米国の感染状況を見る限りあり得ない動きで、なんともはや驚きである。
感染が一時的な現象で終わりそうな確かな兆候が見え始めており、4000万人を超えた失業者数が激減して来ているというなら分かるが。とてもそんな楽観的な状況ではないのだ。もしもこれから先もこんな状況が続くようなら、もはや、「株式市場」は「博打市場」と呼んだほうがよさそうである。
週明けからの状況を注視していきたいと思っているが、株式市場に参加しておられる方々のことを考えると、不安になってくる。
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