また、種の多くが開花後に枯死する年生植物で生育環境にうるさく、種子の発芽率も良くないので、継続して栽培するのが非常に難しいことで有名である。そうでなくても、高山帯が原産地のため暑さには極端に弱く、日本の多くの地域では夏が越せ ないため、栽培は大変に難しいとされている。

しか、し日本でも最近になって、北海道東北地方中部地方などの山岳地帯で育成栽培が試みられ、成功するところも出てきている。長野県の大鹿村の中村農園の「青いケシ」は時々、写真で目にすることがあったので、一度撮影に出掛けてみようと思っていたところ、私の住む北杜市の清里(標高 1400m)でも栽培されていることが新聞に載っていたので、近場なのでそちらを訪ねてみることにした。

花の撮影には幾つか条件がつく。 先ずは撮影時間は午前中、出来るなら朝早い方が良い。元気で生き生きしているからである。天候は曇り空、てかりがなく撮れるからである。花によっては、水滴が花弁に付いている 方が絵になることもある。今回の青いケシもその一つである。

今回の訪問地は咲いている花の本数が10数本しかないため、花の生育状況や天候に合わせるために、3日間通って、ようやく納得のいく一枚を撮ることが出来た。「天上の妖精」とも呼ばれるヒマラヤのケシは透き通るような青い色をしており、ヒマラヤに登られた方が、現地で見たケシより色が綺麗だと言っておられた。じっと見入っていると花の精霊が語りかけて、心を癒してくれるようだ。