富士山麓の本栖湖の近くに芝桜が咲き誇る公園がある。色や花弁が異なる幾種類もの芝桜80万株が広大な敷地に植えられ、上空から眺めるとまるで色紙を貼り付けたかのような景観が広がっている。
4月19日から6月1日まで恒例の富士芝桜祭りが開催されている。時間をとって訪ねてみたが、休日は入場者数が多すぎて絵にならない。平日でも開園時間を少し過ぎると状況は余り変わらない。それに開花状況や天候も加味しなければならず、得心のいく写真撮影には何日か通うしかない。富士山がくっきり浮かび上がる日にあわせるとなるとなおさら大変だ。
私の家からは1時間半ほどの距離なのでさして苦にならないが、絵になる写真を撮ろうと遠方から来られる方は大変だ。何回目でどうにか納得のいく写真を撮り終えたあとで本栖湖に立ち寄ると、そこにはピンク色に彩られた芝桜公園とは対照的に、ブルー色の素晴らしい景観が広がっていた。
湖岸の山々は新緑に覆われ、湖面には鮮やかなブルー色が広がる。その彼方には中腹まで残雪に覆われた霊峰富士の姿が浮かんでいる。まさに新緑の季節ならではの景観である。こうした景色を目にすると心が洗い清められ、なんとも爽やかな気持ちが湧いてくる。傷つき汚れた心の癒やしには自然の発するエネルギーが一番であることを実感する。