先週、長野県の北に位置する高山村の松川渓谷を訪ねた。前日の深夜、ふとしたことから紅葉の素晴らしい景観を目にしたからである。隣の県とは言っても新潟県に近いため少々時間がかかりそうなので朝早く出かけることにした。
中央高速道、長野高速道、上信越高速道を走って長野インターで降りる。そこから渓谷を目指したのだが案内板がなく道がはっきりしない。そこで飲み物を買うため立ち寄ったセブンイレブンで、地元の人に道筋をたずねることにした。
入口に50台の男性が立っておられたのでお聞きしたところ、山の中の道なので説明が難しそうであった。「どちらから来られたのですか?」と聞かれたので「山梨県からです」と答えると、「遠くから来られたのですね」と言って、それでは私が案内しますから車の後をついて来てくださいと言われた。
分かりやすい場所まで行って止まるのかと思って後をついて行ったところ、15分過ぎても20分過ぎても一向に車は止まる気配がない。さらに十数分走って止まったところは、なんと撮影スポットの渓谷の橋の前であった。30分以上走って来たので、往復で1時間を超す距離を道案内して下さったというわけである。驚きと感謝の気持ちで、ただただ頭が下がる気持ちで一杯であった。
紅葉を撮るには太陽光が射しているのが重要である。しかし太陽が東にあるか、真上にあるか、西にあるかによって光の射す方向が違ってくるため、カメラを向ける場所によって最適な撮影時間帯が午前、昼、午後と変わってくる。
特に山の中の紅葉となると、時間帯によってはまったく絵にならない場所もある。ご親切な男性のおかげで道に迷わず早めに到着することが出来たため、東から日の射す早めの時間帯
でなければ撮れない光景を何枚か撮ることが出来た。感謝、感謝である。
これまでに紅葉の撮影には八ヶ岳山麓や蓼科高原など様々な場所を訪ねたが、今回の松川渓谷の紅葉風景は度肝を抜かれるほど圧巻であった。特に上段に掲載した紅葉に覆われた山と山に架かった橋を入れた景観は最高。その橋は真っ赤に塗られており紅葉風景を一段と盛り上げていた。
そんな光景が展望できる場所に立った人たちは皆、「ワアー凄い、ワアー凄い」と声を上げていたが、誰もがその光景は生涯忘れないに違いない。「来てよかった!」「来てよかった!」と繰り返していた女性の声が今でも耳に残っている。
撮影時間は10過ぎから3時ごろまで長時間にわたったが、読者の皆さにも是非その感動を味わって頂きたいと思ったので、今週と来週の2回にわたって掲載することにした。ゆっくりとご覧になって頂きたい。また、徳乃蔵にご来館頂いた皆様には、大型版の写真でご覧いただこうと思っている。
なお今回からクリックした後の写真の大きさを、以前の800ピクセルから1200ピクセルに拡大したので、大型画面でご覧になられている方には、喜んでもらえるのではないかと思っている。ご感想をお聞かせください。