3月も月半ば、暦の上ではもう春である。これから先、降雪は期待できそうにないので薄化粧の富士の残雪を撮りに出かけることにした。3日の日のことである。
富士五湖の一つ「西湖」に着いて湖岸から眺めると、白く輝いてはいるものの積雪が薄く、所々に地肌が見えていた。
西湖と精進湖からの展望を写真に収めた後、「白糸の滝」を訪ねた。静岡方面に向かって走りながら眺めた富士の積雪で気になったのは、南西方面の斜面に出来た幅広く青色に見える積雪の消えかかった部分(写真B)であった。マグマの上昇による地熱で発生したものでなくてくれればよいのだが。
訪ねた「白糸の滝」は昭和の初めに国の名勝及び天然記念物に指定され、平成2年には「日本の滝百選」に選定された滝である。また富士山が世界遺産として登録された平成25年には、白糸の滝も世界遺産の構成遺産の一つとして登録されている。
高さ20m、幅150mの湾曲した絶壁から落ちるこの滝は、本滝の一部を除いてそのほとんどが富士山の湧き水である。岩壁の間から白い絹糸の様に流れる様は「白糸の名」にふさわしく、女性的な美しさを漂わせていた。
緑と紅葉に包まれてた季節には一段とその美しさを増すことと思うが、富士の湧き水の濃い青色をした池の水はなんともきれいで
、心が洗われるようであった。滝は冨士講を中心とした人々の巡礼・修行の場となっていたようなので、寒さの中で修行することもあったようである。