金融崩壊劇の始まり
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1000ドルを超す下げを演じた26日のニューヨーク市場
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案じていた通りの株価崩壊と大幅な為替変動が始まり出したようである
5月にに入って、世界的に株価が調整局面を見せ始めていたが、ここにきて一気にその下落幅を広げ始めてきている。この1週間で、中国株価の代表的指数である
上海株価指数をはじめ、香港の恒生指数、イギリスのFTSE、ニューヨークのダウ、日経平均どれもが皆10%近い下落となっている。
中でも一時的とはいえ、6日のダウの1000ドル近い急落の場面は2008年9月の再来を彷彿(ほうふつ)させるものであった。
その際に各マーケットがみせた狼狽(ろうばい)ぶりは、信用不安連鎖の恐怖がまだ投資家の脳裏に焼き付いていることを如実に示していた。
為替の変動も凄く、ユーロの対円相場は5日に120円を切ったばかりなのに、翌日の6日には110円にまで急落。ドルも93円から一気に88円台へと5円を超す下げ。7日には
一旦戻しに転じているが、ギリシャ危機やそれに端を発したダウの急落が為替相場にいかに影響を及ぼすかを、いやと言うほど見せつけた6日のニューヨーク市場の動きであった。
その直接の要因はギリシャのデフォルト懸念から始まったユーロ崩壊に対する不安にあることは間違いないが、それはあくまで表向きの理由に過ぎず、真の要因は別のところにあった。リーマンショックによって発生した世界的な経済危機に対して、各国政府は民間の銀行や企業に対して、膨大な支援を行ってきたが、その結果生じた世界経済の底打ち感を本物の景気回復と見なし、株価をつり上げたことこそが、真の要因であった。
また中国における株価上昇は、政府が50兆円余を経済支援にばらまき、さらには200兆を超す資金を銀行を通して各企業に融資。それらの資金の一部は設備投資な
らぬ投機資金として使われ、株価上昇や不動産バブルを発生させてきたことは、既にHPで報告してきた通りである。
つまり、実体経済はリーマン・ショックによる経済崩壊から決して回復していないのに、作られた景気底打ち感や景気回復説の流布によって、世界の株価は上昇してきたのである。その上昇幅は、1700ポイントから3470ポイントまで100%を超す上昇を成し遂げた中国の上海株価指数を筆頭に、6500
ドルから11200ポイントへ70%上昇したダウ、66%上昇の英国株、60%の日本株とどれもがみな、実体経済とはあまりにかけ離
たものであった。
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ギリシャの暴動は収まりそうにない
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昨年の8月27日掲載のHP「異常な株価上昇」欄で、私は「私見では、ダウ平均もS&P指数も今しばらく上昇を続け、1万ドルを超えて1万1000ドルに近づいた辺りが峠ではないかと思っている」と
相場の見通しを書いておいた。記憶しておられる読者もいるに違いない。
結果的には、私の予見にほぼ近い1万1200ドルが高値となり、
そこから下落が始まったわけであるが、恐らくこれが戻り値の最高値となり、これから先、株価は夏場に向かって300ドル、500ドルという値幅の大きい上げ下げを繰り返しながらじわりじわりと下落し、ある日突然、世紀の暴落が市場を襲うことになるものと思われる。
なにしろウオール街の金に目がくらんだ魑魅魍魎(ちみもうりょう)どもが操る「気違い相場」であるから、これからしばらくはまだ様子を見る必要はあるが、大局的には奈落の底に向かって歴史的な崩壊が始まったと考えて間違いなさそうである。
歴史を振り返れば、29年恐慌時の大暴落の際にも、株価は一旦底を打った後で下げ幅の50%まで回復したあと奈落の底に向かって下降し、ピーク時の株価の10%にまで暴落している。歴史は繰り返すと言うから、同じパターンを歩むことにな
ると、その底は恐ろしいほど深そうだ。
上段の一文も、「異常な株価上昇」欄で書いたものであるが、我々人類はいよいよ歴史的な金融崩壊の戦慄的な世界を、間もなく自分自身の目で目撃することになるのではなかろうか。
株価急落と為替の不安定化は、単なる金融崩壊にとどまらず、世界的な経済・政治・社会の崩壊へと進む可能性を秘めており、間もなく、我々は信じられないほどの価値観の変化や歴史観、宇宙観の変化に遭遇することになるかもしれない。