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2010年5月19日、NASAの人工衛星テラが撮影した原油汚染の状況写真
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米南部メキシコ湾の原油流出事故で、国際石油資本(メジャー)、英BP社
のサトルズ最高執行責任者(COO)は29日、記者会見し、流出阻止に向けた新たな作業が完全に失敗したと述べた。
それを受けて、5月30日、ブラウナー米大統領補佐官は、メキシコ湾で起きた原油流出事故について流出は8月まで続く可能性があるとの見方を示した。これによって、オバマ米大統領が懸念していたとおり、生態系など周辺環境への深刻な影響が懸念される「米史上最悪の原油漏れ被害」をもたらす可能性が一段と大きくなってきた。
それに加えて、日本のマスコミは報道していないが、さらなる不安な点が幾つか出てきたので、お知らせすることにする。
別の流出箇所ありの発言
@ 最初の一つは、アメリカのテレビに出演したBP社の技術者が、「石油の噴出漏れが発生しているのは、今回の事故現場だけでなく、実は、現場の近くにもう一カ所ある」と、発言している点である。
今回の流出量そのものが実際は発表されている数値(1日5000バレル)より多いのではないかという点については、これまでも色々な人々から懸念の声があがっていたが、米地質調査所(USGS)が27日発表した推計によると、1日当たりの流出量は1万2000─2万5000バレル(190万─397万リットル)と、米国史上最悪の規模となっている
ことが明らかとなった。
さらに今回のテレビ発言が事実だとすると、全体の流出量は、4万バレルを上回る可能性が高くなってくる。それではこれらの流出した膨大な量の石油をどう処置するかと
いうことであるが、ここにさらなる問題点があるようである。
薬剤による2次災害の発生の懸念
A ロシア天然資源環境省が発表したレポートのなかで、「BP社の原油流出は、北米大陸の東半分のすべてを
"完全な破壊" に導くだろう」と述べているが、それは、BP社がメキシコ湾に流出した原油を分解するために使っている、何百万ガロンもの「
コレキシト9500 (Corexit 9500) 」という名の化学分散薬品に問題があるからである。
現在、PB社が原油流出現場で大量に使用しているこの「 Corexit 9500
」という化学分散薬品には、石油より4倍は強いと言われている強い毒性(
2・61ppm )があるだけでなく、この薬剤の分子がメキシコ湾の暖水と混ざることによって、「相転移」という
化学的変化を起こして、海だけではなく、陸上にも悪影響を及ぼすことになるようなのである。
この相転移現象は、液体をガス状に変える作用があ
り、気化したガスは上昇して雲に吸収されることになるため、これから先、地上には「毒性を持った雨」が降り注ぐ危険性があるというわけである。
すでにアメリカ東部の海岸地帯では、黒い雨が降る現象が発生しているようであるが、これから先、ロシアの環境省が懸念しているようにメキシコ湾で大量の「
Corexit 9500
」が撒かれることになると、今年は、史上例をみないほどの数、14−23の熱帯暴風雨の発生が予想されているだけに、アメリカ東部に住む人たちは危険な状態に晒(さら)される可能性が大きくな
ってくる。
アメリカ国民はこうした情報を知らずにいるのだろうか。杞憂(きゆう)に終わればよいのだが。
ノルウエーでも原油漏れの可能性
B 石油開発会社による石油漏れ事故は、アメリカだけでなく、ノルウエーでも発生しそうである。というのは、ノルウェーの国営石油会社
Statoil 社が、21日、破裂防止装置(ブローアウト・プリベンター)の2つのバルブのうちの1つに過度な圧力の変化が起きた後に、従業員たちが北海のガルファクスCプラットホームから避難したと発表しているからである。
これを受け、環境保護団体ベローナは「状況は非常に危機的だ」と述べ、メキシコ湾での BP
社の石油リグ爆破事故による原油流出の環境災害に続く災害の危険性を強調している。今回事故のあったガルファクスは北海のノルウェーの
Tampen 海域にあり、1日当たりの石油の採掘量は78,000バレル、ガスは1年で約4億2000万立方メートルとさほど多くないので、メキシコ湾ほどの被害が出る可能性は低いが、
こうした事故が続発すること自体が問題である。
今年に入ってから相次ぐ石油掘削の事故やアイスランド・中南米の噴火、ハイチやチリ、中国の地震などを考えると、地球をとりまく地殻(プレート)に大きな変化が起きている可能性を考えざるを得なくなってくる。
実はロシアのDubna大学一般・応用地球物理学講座のウラジーミル・クリヴィーツキー助教授は、
「アイスランドの火山噴火もそうした地球規模の一連の地殻変化によるもので、噴火はさらに強力になる可能性がある。隣のカトラ火山が活発化したら、同国では洪水が始まる可能性があり、それは地球全体に影響を及ぼすことになるかもしれない
」と語っている。アイスランドの氷の量を考えると不安になってくる。