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前例のない国家ぐるみのハッカー攻撃

 
 

 
     
 

数日前、世界を駆け巡った驚くべきニュースは、北朝鮮によるハッカー攻撃による現金強奪事件。 情報の元となったのは、米国議会で行われた情報セキュリティー会社シマンテックの幹部の証言であった。

証言の主要ポイントは以下の通り。

「北朝鮮は一昨年から今年にかけて世界30ヶ国以上の銀行や金融機関へサイバー攻撃を仕掛けており、バングラデシュの中央銀行からは8100万ドル(9億3000万円)を盗んだ」。「このように国家がハッカー攻撃を用いて他国の銀行を狙い 、資金を強奪するのは初めての例だ」

シマンテック社の証言を裏付けるように、米NSA(国家安全保障局)のロジャーズ長官も議会で次のような証言をしている。「北朝鮮は核とミサイルの開発資金を得るためにサイバー犯罪にも手を染めている

国家財政が決して豊かでないはずなのに、北朝鮮は核開発やミサイル実験に要する巨額な費用をどうして捻出しているのだろうか? 誰もが思う疑問である。  今回、国家ぐるみのサイバー攻撃が明るみに出たことで、その一旦が明らかとなったというわけである。

困窮した一般市民への支援などほとんど手付かずでいるばかりか、海外に出稼ぎに出た国民は得た収入の多くを北朝鮮政府の口座に強制的に送金させられている。 そればかりか、さらに驚くようなニュースが流れた。 

ドイツのベルリンにある北朝鮮の大使館の館内にある使われていない建物を、ホテル業者に貸し出して、その賃料を 母国に送金していたと云うのだ。 こうした信じられない行為は、ドイツだけでなく他のヨーロッパの国々の大使館でも行われている というから驚きだ。

 
 

 
 


海外に出稼ぎに出ている個人や法人の収入の多くが国家の金庫に送金されている。

 
 

ここまでして国家の財政難をカバーして来ているわけだが、こうして得た外貨収入にも限界がある。 そこで狙いをつけたのが 、海外の銀行などから現金を奪い取る「ハッカー攻撃」であった。 それには世界有数のハッカー集団を育成する必要がある。 そのために北朝鮮政府は各学校から優秀な 学生を集めて、他国にないハッカー集団を育成して来ていたようである。

こうした実体を垣間見てみると、 北朝鮮は同じ民族でありながら敵視続けて来た隣国・韓国を軍事面で上回るために、国家ぐるみで戦略的に取り組んで来ていたことが分かる。 その取り組みの一つが世界中のどの国もなし得ていないハッカー攻撃による国家資金獲得という 戦略であったのだ。

こうした国家戦略は初代最高指導者・金日成から続けられて来たわけだが、「あの若造に何が出来るものか!」と、世界が侮(あなど)っていた3代目金正 恩が、2人の先代にも増して軍事力強化に取り組んで来ていたわけである。 それは、金正恩自身が若いが故に周囲から侮どられたくない気持ち が強かったことと、政権転覆を狙うクーデターを人一倍恐れていたからである。

金正恩主席がどれほど我が身に対する謀反を恐れていたかは、政権や軍部の人間だけでなく、粛清の対象が親族にまで及んでいることを見れば、明らかである。 もちろん金日成 や金正日の時代でも粛清はあったが、対象となったのは市民から中堅幹部まで。 ましてや親族などはありえず、あったとしてもせいぜい収容所送りであった。 しかし 、金正恩は何でもあり というわけだ。

2011年に父・正日が亡くなってトップの座についてから昨年末までの5年間で、彼が処刑した次官以上の人数はなんと140名に上ると言われている。 1年30人とすれば、1ヶ月で3人。 その中には2013年に処刑された叔父に当たる張成沢(チャンソンテク)を始めとする多くの近親者も含まれている。 これだけのペースで行われた狂気の粛清を日々目にする幹部の心中がいかばかりか、察しがつこうというものだ。

次回は、このように次々と行われれて来た粛清がいかに無慈悲なものであったかについて、元北朝鮮一等書記官が明かした狂気の事実をお伝えする事にする。

 
 

 
 


国の内外から集められた資金はもっぱら核とミサイル開発につぎ込まれてきた。
華やかな軍事パレードの裏には多くの国民の汗水流した奉仕が隠されているのだ。

 
 
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