またロシアで反政府デモが行われた。 12日はロシアにとって記念すべき祝いの日、そんな国民にとっての祝日が、モスクワを始めウラジオストクなど100か所を超す都市で、戦いの日と化してしまったようだ。 デモの要因は、プーチン政権下で蔓延する汚職に対する抗議。
汚職の実体は、3月28日付の記事「ロシアで再び反政府デモ」で記した通りである。 富豪たちから受け取った賄賂(ワイロ)で、豪邸や高級ヨットを保有
し、イタリアに広大なワイン畑を持っているメドベージェフ首相の実体を見れば、汚職の度合いのひどさが分かろうというものである。 同じ共産党体制下の中国の周金平政権とまさに瓜二つである。
機動隊の出動によって各地で多くの逮捕者や負傷者が出たようだが、ロシアでは2014年に施行された法律によって、公然と政府を批判することが禁じられてしまったため、今やロシアでは大規模なデモや集会は出来なくなってしまって
いる。 そうした状況下でありながら、多くの都市でこれだけ頻繁に大規模デモが行われているということは、プーチン政権に強い不満を持っている人々が、次第に増えて来ていることは間違いないようだ。
ただ80%と言われている高い支持率を得ているプーチン大統領だけに、この程度のデモで政権基盤が揺らぐことはなさそうだ。 しかし、来年3月に実施される大統領選挙に向かって、これから先、反政府勢力の勢いが増してくることは避けられそうになさそうである。
今回の反政府デモの呼びかけ者で、プーチン政権を厳しく批判し、政府高官の蓄財や贅沢を暴露してきた野党指導者ノナバリヌイ氏は、自宅を出たところで警察に拘束された模様だ。 来年の大統領選への立候補を予定している人物だけに、国民の反発は強まりそうだ。
こうした動きを見ていると、絶対的な権力を握っているプーチン大統領もこれから先、独裁政治を続けていくためには、中国の習近平主席やトルコのエルドアン大統領と同様、国民の不平・不満を強権を使って抑え込んでいくことになりそうである。 問題はそれがいつまで続けられるかどうかである。