イスラエル寄り発言に、パレスチナ大反発
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副大統領の議会での演説は完全にイスラエルに組するものとなった
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今日は「噴火・地震相次ぐ」と2ページにわたって掲載しました。 お時間をとってお読みください。
私がかねてから注目していた米国のペンス副大統領のイスラエル訪問。 エジプトとレバノンを訪問の後、22日にイスラエルに入った副大統領は議会で演説。 訪問儀礼以上のイスラエル寄りの発言に世界は眉をしかめたが、注目されたのは問題となっている米国大使館のエルサレムへの移転の時期に関する発言であった。
副大統領は、移転は来年末までに行われると明言。 具体的な日程は数週間以内に発表される予定だと語った。 世界各国はテルアビブからエルサレムへの移転には様々な問題があるので、相当数の年数がかかるだろうと思っていただけに、副大統領の発言には驚かされるところとなった。
その後、23日にはエルサレムの旧市街にある「嘆きの壁」を訪れ、ユダヤ人が被る帽子を頭に付け、壁に向かって祈りをささげた。 その姿はトランプ大統領がイスラエル歴訪中に為した祈りの場面を思い出させるところとなった。 これで、米国政府のイスラエル寄りの姿勢が一段と鮮明になったことは明らかだ。
それにしても、これまでに米国の大統領は誰一人として「嘆きの壁」の前に立つことがなかったというのに、トランプ政権は大統領だけでなく、副大統領までが立て続けに訪れて祈りを捧げるところとなったのだから驚きだ。 こうした一連の行為がパレスチナ人だけでなく、中東に住むイスラム教徒全体に大きなショックを与えたことは間違いない。 世界の人々が後に歴史を振り返った時、悲しい思いで、この場面を思い出すことになるのではなかろうか。 私にはそんな気がしてならない。
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ユダヤ人独特の帽子をかぶって「嘆きの壁」の前で祈る姿は、
パレスチナの人々に大きな反発を与えるものとなった。
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一方、ペンス副大統領の一連の言動に反発したパレスチナ国民は、エルサレムを含む各地で抗議デモを行っただけではなく、政府も医療機関を除くすべての政府機関のゼネストを実行し、米国に対する強い反発心を明らかにした。 その結果、米国には和平交渉を仲介する資格がないとして、米国との亀裂が一段と深まるところとなった。
連日、副大統領の訪問をトップニュースで伝えているカタールのアルジャジーラテレビは、中東和平を巡る新たな和平案が今年中に打ち出されるようだと伝えていた。 トランプ大統領のすることは目に見えている。 11月の中間選挙を前にしてユダヤ系の財閥とキリスト教福音派の投票を得るために、イスラエル寄りの和平案を用意しているのであろうが、そのようなものにパレスチナが同意するはずがない。
その時、強引にパレスチナ側に和平案を受け入れさせるために用意しているのが、支援金という「金の取引」である。 トランプ政権が既にパレスチナ難民などに対する支援金の凍結を実施していることはお伝えして来ている通りである。 さらにこれから先、こうした政策を次々と実施してアッパス議長の立場を追い詰め、支援金の再開を餌に和平協定を結ばせようとしているに違いない。 トランプ氏が得意としているビジネス的取引を政府間交渉に持ち込む政策が目に見えるようだ。
トランプ大統領によるエルサレム承認を巡る今回の一連の動きは、自国第一主義の表れであり、米国で絶対的な力をもったユダヤ系の富裕層やキリスト教福音派を取り込む為の政策であったことを考えれば、私のような者にも、これから先の対中東政策が目に浮かんでくる。
トランプ大統領の目指すのはイスラエルを中東ナンバーワンの大国家に導くことである。 そのためには目の上のたんこぶであるパレスチナを弱体化させ、イスラエルの最大の脅威国であるイランを中東の中で孤立させ弱体化させることが必須なのである。
これから先、一時はトランプ氏の思うように事が進む場面もあろうかと思うが、結果的には、彼の政策はイランに味方するロシアやトルコ、中国を敵に回すこととなり、ハルマゲドンに導くことになるのではないかと思われる。 今はただ、そうならないことを願うのみだ。
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若者たちによる反米デモは多くの負傷者を出している。
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