ネタニヤフ首相、イラン攻撃を示唆
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イスラエル上空で撃墜されたイランの無人機の残骸
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昨日、シリア領内のクルド勢力を滅ぼすため、トルコ軍がシリアに部隊を進めた記事を掲載したばかりであるが、今朝のニュースはシリアがそのトルコ軍を追放するため、政府軍を北部のアフリンへ派遣することを発表したことを伝えていた。
どうやら、トルコ軍とシリア軍との戦闘に発展する可能性が出てきたようだ。 この件については詳細が明らかとなった段階で改めて記すことにして、今回は中東戦争の最大の発火要因とされている、「イスラエルとイランとの対立」について記すことにする。
18日から、ドイツ南部のミュンヘンで、世界各国の首脳や閣僚などが集まって安全保障問題に
ついて話し合う会議が行われている。 今年の会議には米国のマティス国防長官やロシアのラブロフ外相、日本の河野外相などが出席している。 緊迫した国際情勢を反映し、重苦しい雰囲気の中で行われた会議で露わになったのは、イスラエルとイランの対立であった。
読者は内戦が続くシリアと隣国イスラエルの上空で、日々、イスラエルとシリア、イランとの戦闘が行われていることをご存じだろうか。 今月10日、シリアを支援するイラン軍の無人機が領空を侵犯したとしてイスラエルが無人機を撃墜。 一方、シリアに駐屯するイランの軍事施設を越境攻撃し
たイスラエルのF16戦闘機が、シリア側の反撃で撃墜される事態が発生している。
こうした緊迫した情勢下で、ミュンヘンの国際会議に出席したイスラエルのネタニヤフ首相は、「必要に応じてイランが支援する国々(シリアなど)だけでなく、イラン本国に対して行動を起こす」と発言。 この発言を受けてイランのガリーフ外相は「イスラエルが行っている周辺国に対する武力行使こそが問題だ。イランに責任を押しつけても何も解決しない」と応酬。
どうやら、両国の対立は一段と激しさを増してきたようである。
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各国の首脳を前に、撃墜したイランの無人機の
破片を片手にイランを非難するネタニヤフ首相
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イスラエルが行っている武力行使こが中東
情勢を悪化させていると応酬するイラン外相 |
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今回のネタニヤフ首相の攻撃的な発言を聞いていると、「エルサレムの首都認定」と「イラン核合意は無効である
」とするトランプ大統領の発言を拠り所に、イスラエルがイランの核関係施設を含めた主要軍事施設に空爆を実施する可能性が大きくなって来ているように感じられる。
もしも、イスラエルがそのような軍事行動に出た時には、イランからイスラエルへのミサイル攻撃は十分にあり得るだけに、中東情勢は一気に緊迫することになりそうである。 それは、イランと蜜月関係にあるロシアと
、イスラエルの支援国家・米国との関係がかつてないほど悪化している時だけに、ロシアと米国の対立を一段と進めることになりはしないかと、心配だ。
私が気になるのは、今イスラエルではネタニヤフ首相の汚職問題が発生しており、国民の間から首相退陣を迫る声が上がっていることである。 ネタニヤフに対する汚職疑惑は
、国に対する献上物を私物化したり、外国の実業家のビザ取得に便宜をはかって3000万円の贈り物を受け取ったりなど、これまでにも何度か起きているが、どれも皆起訴にまでは至っていない。
しかし、今回は警察による約1年間にわたる調査に基づいたものだけに、状況は一段と厳しいようである。 そうなると、ネタニヤフにとってイランやパレスチナとの紛争は、国民の関心を
そちらにそらすための格好の手段となってくる。 ずるがしこい男だけに、イランとの紛争を我が身の保全に利用することは十分にあり得ることだ。 私の心配が杞憂に終わればよいのだが。
イスラエル軍、パレスチナのガザ地区を空爆
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ガザ地区に対する空爆を繰り返すイスラエル軍
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パレスチナではトランプ大統領のエルサレムの首都認定以来、イスラエルと米国に対する不満が一段と高まって来ており頻繁に抗議行動が続いている。 そんな中、16日、ガザ地区とイスラエルとの境界線上に仕掛けられた
爆薬が爆発し、イスラエルの兵士4人が負傷する事件が発生した。
これに対する報復として17日から18日にかけて、イスラエルはガザ地区のハマスの軍事施設16か所に空爆を実施、
その影響を受けて一般市民に死者2人と多くの負傷者が出ていることを、カタールアルジャジーラは伝えている。
一方、ガザ地区を支配する過激派集団ハマスからも、イスラエルに対しロケット砲が撃ち込まれたようである。 こうしたことは今に始まったことではないが、エルサレム問題でイスラエルは高揚しており、一方でパレスチナは不満が高まっている時だけに、
火の手が大きくならないか心配だ。 ここでもネタニヤフの汚職疑惑が影響してくるかもしれない。
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空爆による遺体を運ぶガザ地区の人々。 彼らの不満は募る一方だ。
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