短時間で発生する雪解けの謎
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22日の夕方4時過ぎの富士山。 久しぶりに積雪の山頂の姿が見えた。 しかし
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八ヶ岳山麓一帯が21日未明から22日にかけての降雪で、20センチ近い積雪に見舞われたことは、「春分の日の雪景色」に掲載した通りである。
雪は22日の朝には止み、午後遅くには晴れ間が見え、積雪に輝く富士が姿を現した。
久しぶりに見る積雪の富士の姿だったので、書斎から望遠レンズを使って写真に収めた。 撮影した時間は午後の4時頃であったと記憶している。 それが上に掲載した写真である。 翌日23日の早朝、8時ごろに今朝の富士はどうだろうかと思い、眺めてみると昨日と同様に輝いていたが、南側の雪解けの具合が気になったので、改めて撮影してみた。
下に掲載した2枚の写真が22日(@)と23日(A)の写真の頂上部分の拡大したものである。 @とAの写真を見比べて頂ければ、読者にも写真右側(南側)の一部が明らかに溶け具合が違っているのがお分かりになられるはずだ。
22日の写真(@)に写っている青色の筋つまり雪が溶けて地肌が見えている部分の幅が、23日の写真(A)の方が2倍以上広くなっている。 中央下の部分や左側の部分の溶け具合も違っている。
気になる点は@とAの溶け具合が何故こんなに違っているのかという点である。 今回の積雪の量は河口湖や山中湖では25センチ前後であった。 ということは、山頂部では50センチから1メートル近い積雪になっていたと考えて間違いなさそうである。
それだけの雪が南側部分では、22日の夕方4時過ぎから翌朝の8時ごろまでの14時間で、なにゆえ溶けてしまったのだろうか? 同じ14時間でも
陽の射す日中を挟んでの14時間ではないのだ。 その間の日照時間はわずか1時間半ほどで、山頂部の気温は0度を大幅に下回る寒さの中であったのだ。
23日の早朝8時ごろは我が家の温度計は2〜3度であったことからすると、山中湖や河口湖は0度前後であったに違いない。 ということは、3000メートルを超えた山頂付近
の夜間の気温は間違いなくマイナス10度前後に達していたはずである。 それなのにこれだけの雪解けが起きたとなると、その要因は気温の上昇によるものではなく、山肌の地熱
によるためではないかと思えてくる。
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写真@ 3月22日、午後4時過ぎの山頂付近
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昨年末からの富士山頂に雪が積もるたびに多くの人が不思議に感じていたのは、積雪の翌日以降あっという間に幅の広い筋が出て、山肌が露出することであった。 地元の方の中には今年は風が強いため、雪が舞ってしまったのではないかと考えている人が多かったようである。
しかし、私が少々疑問に思ったのは、わずか1日、2日で50センチから1メートルの積雪が風で飛び散ってしまうことがあるのだろうかという点であった。 今年のような雪解け現象はあまり前例がないだけに、強風説だけでは説明出来ないような気がするのだが、いかがだろうか。
ただ、一つだけはっきりしている点は、今回の雪解けが発生した22日と23日に限っては、強風は決して吹いていなかったことである。 ということは、今回の急激な雪解けの要因が風によるものでないことは確かである。
となると地肌の高温化、つまり、マグマの上昇が起きているのではないかと、考えざるを得なくなってくる。 ただ分からないのは、溶解現象が南斜面に多くみられるという点である。 それは今回に限らず
、昨年暮れからの現象でも同じように見られたので、雪解け現象の謎を探る上で一つのヒントになるかもしれない。
いずれにしろ、素人の私が簡単に断定できることではないので、早い機会に火山学者は人々の疑問について答えて欲しいものである。 西之島への溶岩の流しもほぼ終了したようなので、龍神様といえども、富士の火口下の溶岩を他に流し出して、いつまでも噴火を抑え続けることは難しいのではないだろうか。
ただ、私が知らされている限りでは、今しばらくは富士の噴火はなさそうなので、今すぐ大騒ぎする必要はないと思うが、天変地異の発生時期については予断は禁物なので、これから先、小さなことでも気を配って見ていきたいと思っている。
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