人間だけでなく、動物をも飢餓に導く
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パレスチナのガザ地区にある唯一の動物園の
3頭の子供ライオンをかわいがるファティ・ジョマさん。 (渡辺丘氏撮影) |
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中東のシリアやアラビア半島のイエメンで激しい戦闘が続く中、食事にありつけない悲惨な子供たちがいることは既に何度かお伝えして来た通りである。 しかし、飢餓状態に陥っているのは何も人間の子供だけ
に限ったことではないようだ。
それは、周囲をイスラエルによって封鎖され「天井のない監獄」と化して、国そのものが存続の危機に陥っているパレスチナの動物園のライオンの子供たちである。 このニュースを朝日新聞の
3月17日付の記事で知った私は、人間どもの愚かな行為が動物たちにも及んでいるのかと、愕然としてしまった。
パレスチナのガザ地区に民営のラファ動物園が初めて開業したのは、今から20年前の1998年。 そこにはジャガーやカンガルーなど150種類の動物がおり、人気を集めていたという。 だが、
その後の度重なるイスラエル軍とパレスチナ側の戦闘で獣舎が破壊され、多くの動物たちが死んでしまい、今では約40種類しかいなくなってしまったようだ。
パレスチナの中でもエジプトに接したガザ地区は、イスラエルに対する反発が強い地区だけに、長い間、イスラエルからの攻撃に遭遇し続けてきている。 そのためガザ地区の経済の落ち込みは
年々厳しくなってきており、失業率が40%を超す悲惨な状況に陥っている。
そのため、最盛期には1日数百人いた入園者は激減してしまい、動物園は赤字経営に陥ってしまった。
その上、昨年の春からは深刻な電力不足が生じ、発電機を動かすための燃料代がかさむこととなってしまった。 その結果、1ヶ月50万円程のえさ代に事欠くようになってしまい、動物たちに十分な餌をやることが出来なくなってしまったのだ。
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ジョマさんたちに抱かれた3頭の子供ライオン。
なんとか動物園に留まって子供たちの心を癒すお役目を全うしてほしいものだ。
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さらにカルマを積むトランプ大統領と米国
そんな中、昨年11月に生まれた3頭のライオンの子供は肉食で餌代が飛びぬけてかかるため、昨年末に売りに出すことになってしまった。 しかし、買い手が一向に現れず動物園に留まっているものの、今は週に2日、動物たちに餌を与えることが出来なくなってしまったため、
彼らは飢えに耐える日々が続いている。
因みに、生まれた3頭のライオンたちは「エルサレム」「パレスチナ」「エルドアン」と名付けられたようであるが、それらの名前の由来は、米国のトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と宣言したことと、それに強く反発したトルコの大統領の名前にちなんでいるようである。
それを見ただけで、パレスチナの人々がいかに今回のトランプ大統領による、エルサレムの首都認定を憤っているかが分かる。 そのエルサレムへの大使館移転を5月に早めて、移転式典にはトランプ大統領自らが出席することにしたばかりか、これまで行ってきたパレスチナへの支援金を大幅に削除したのだから、パレスチナ人たちが反発して当たり前である。
トランプ大統領の一連のイスラエル寄りの政策は、パレスチナ人だけでなく、彼らによって飼育されている動物たちをも飢餓状態へと陥れているのだ。 これも皆、11月に行われる議会選挙
において親イスラエル勢力から強い支持を得るためであることを考えると、大統領と米国のカルマはさらに増すことになりそうである。
ここ数週間、東海岸一帯を襲っている自然の猛威をみれば、自然災害によるカルマの刈り取りが一段と進んで来ていることを感じざるを得ない。 先週のワシントンからニューヨーク、ボストンにかけての寒波と降雪は記録的なもので、ワシントンでは桜の開花を当初予想された3月17日から次々と引き延ばされ、4月12日まで3週間以上引き延ばされたのを見れば、寒波と降雪がどれほど厳しいかを知ることができる。
今週は、南部の温暖なテキサス州では、4月を迎えようとしているというのに大量の雹が降り、ルイジアナ州では大型の竜巻に襲われてシェルターへの避難勧告が出されている。 さらにこれから先29日から30日にかけては、テキサス州からオハイオ州、ニューヨーク州にかけて幾つかの州が、集中豪雨による洪水や鉄砲水に見舞われそうである。
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先週の降雪による、北東部沿岸のペンシルベニア州の大雪による交通事故
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テキサス州では平均気温が20℃前後のこの時期に、大量の雹と強風に見舞われた。
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