ボルソナル大統領G7の支援受け入れ
どこまで本気で取り組むか、
ブラジルと世界の未来がかかっている
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何千ヶ所で燃え広がるアマゾンの森林火災 |
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先般、「アマゾンで燃え広がる森林火災」で、南米の熱帯雨林アマゾンが森林火災の多発によって危機的状況に陥っていることをお伝えした。その後にフランスで開かれたG7(7ヶ国首脳会議)においてもこの問題が論議され、消化のための活動資金として2000万ドル(21億円)が提供されることになった。
しかし、驚いたことにブラジルのボルソナロ大統領は、7ヶ国首脳は我々の主権を認めず植民地のように扱おうとしているとして、資金援助を拒否したのだ。これに対してブラジル国内だけでなく、国際社会からも強い非難の声が挙がるところとなった。
そうした動きを受けて、ボルソナロ大統領は軍に消火活動に参加させる一方、不本意ながらG7からの資金援助を受け入れることになった。判断を一歩間違ったら、ブラジルとその国民は大変なカルマを積むことになるところであった。その後、ペルーやコロンビアの大統領たちがアマゾンを守るための首脳会議の開催を南米各国に呼びかけ、9月早々に開催されることになりそうである。
前回も記したように、アマゾンの火災はブラジルだけでなくペルーやボリビアなど幾つかの国で発生しており、年々その規模は拡大して来ている。 写真撮影で十数年前から3回に渡ってアマゾンを訪ねるたびに、森林火災の実体を目にして来た私にとって、今回の事態を受けて、南米各国や国際社会がアマゾンの森林火災の撲滅に向けて動き始めようとしていることは、嬉しい限りである。
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不本意ながらG7からの支援を受け入れることになったボルソナル大統領。
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誰も知らないアマゾン森林の実体
しかし、前回、ペルーアマゾンの森林火災の映像を添付させてもらったが、今、アマゾンで発生している火災の規模は我々の想像よりは遙かに大規模であるだけに、関係国が本気で取り組まない限り鎮圧するのは困難であることは確かである。
一番の問題は、20mにも達する巨大な木が生い茂るアマゾン奥地の土壌の薄さである。木が巨大なだけに根の張る土壌は数メートルに達していると思いがちであるが、実際にはその厚さはわずか1m前後しかないのである。
読者はそんなに薄い地層では、木の根が20mにも達する巨木を支えることが出来ないのではないかと思われるに違いない。私も同じように思ったので、写真の撮影中に関心を持って調べてみたところ、巨木の根は地面の下に向かって伸びずに、地表面に沿って伸びていたのである。そのため根の一部は地表で出ており、それを追っていくと数十メートルに達するものもあった。
そのため、本格的な森林火災が発生すると、木の根までが焼き尽くされてしまう可能性が大きく、後から新たに木が生長することを難しくしているのである。
焼かれた森林のあとを畑や牧草地として活用するには好都合であるが、これでは、地球上の20%の酸素を供給し、多くの二酸化酸素(Co2)を吸収する大役を果たしているアマゾンの木々は、その役割を果たせないまま生涯を終えてしまうことになってしまう。
どこの国の報道を見ていても、こうしたことまで伝えているものはない。ということは、アマゾンの火災の恐ろしさを真に理解できる人は少ないということになる。今、アマゾンの火災を押さえることがどれほど重要であるかは、こうした実体を知ることになった私には人一倍強く感じるのである。
一日も早く、南米各国や国際社会がアマゾンの森林火災の撲滅に向けて真剣に取り組むことになることを心から願っている。微々たるものだが、役に立てて頂けるならペルーの学校建設も10校近くに達したので、これから先は消化活動の支援に回せて頂こうかと思っている。アマゾンは私の過去性で縁のあった場所であったようなので、何とか旨くいってほしいものである。
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次々と焼失していく木々たち
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写真に写っている木々は細く小さな木々だが、
アマゾン奥地に入ると巨木が生い茂っている。
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ボリビアのエボ・モラレス大統領は消防隊員と一緒に消火活動に加わっている。
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