海水温上昇がもたらす異変 @
秋の恵みの「サンマ」の水揚げ量激減
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秋の味覚「サンマ」 |
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秋の食卓を飾るのは「サンマ」。私のように子供時代を海から遠く離れた地で育った者にとって、秋に入って脂の乗ったサンマを食べるは何よりの楽しみ。値段も手ごろであったため昔から多くの家の食卓に乗っていた。
夏も終わり、今年もまたサンマの水揚げが始まっている。「今までにない不漁」という声が漁業の現場から聞こえていたので、値段は少々高めになっているのだろうな思っていたところ、先月下旬、東京の江東区のスーパーで1匹税抜きの値段が398円だったという記事を見て驚かされた。
2008年には34万トンあったサンマの水揚げ量は2015年以降は急激に減少し10万トン前後となってしまっていたが、今年は特に厳しいようである。サンマの量が減少したというのではなく、サンマは温かい水を嫌うため、海水温の上昇が進む日本近海に近づかなくなったのが要因のようである。
陸上に住む我々人間も今年の夏の暑さには音を上げ、涼しい場所を探し求めているが、サンマたちも人間と一緒、海水温の低い北海道の遙か東の海上へと住処を代えてしまったと言うわけである。これまで、我が国の漁師たちはサンマは日本近海で漁ができると言うことで、小型船漁を行ってきていた。そのため遠洋に向かうには中型、大型船に切り替える必要が出てきたのだ。
それでは大型船に乗り換えて遠洋の公海に出れば十分な漁が出来るかというと、どうやらそれも問題があるようだ。公海での漁はこれまで中国や韓国の漁船によって大量に行われてきていたため、サンマの量が減少して来ているからである。それに、遠洋漁猟となると燃料費の負担が重くのしかかってくるため、今後は1匹500円のサンマを夫婦で分け合って食べることになるかもしれない。
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これでは漁にならない
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サンマ漁と言えば、その水揚げ量の日本一を誇るのは北海道・根室の花咲港。今年もまた、その根室の港で秋の漁が始まったものの、どうやら小型船による近海での漁はほぼゼロであったようである。
我々の主食であるお米と言えば新潟産。それが今や北海道でも新潟産に負けないほどの美味しいお米が生産出来るようになって来ているのであるが、その一方で、漁業を営む人たちにとって海水温の上昇は、大変厳しい状況を招くことになって来ているのである。
地球温暖化の要因には幾つか挙げられているが、最も大きな要因は海水温の上昇だと言われている。太陽のソーラーフラッシュを前にした高エネルギーの放射による海水温の上昇は、温暖化によって大気の流れに異変をもたらし、最近、日本各地を襲っている異常な台風や集中豪雨を発生させる要因となっている。
そうした現象は我が国の近海だけでなく、世界各地の海で起きていることは、前回お伝えしたカスピ海で発生した記録的な超大型ハリケーンを見れば、お分かりになられるはずであるだ。実はこうした温暖化と海水温の異常な上昇は台風やハリケーンを巨大化するだけでなく、凍てつく北極海に面した
島に大変な現象をもたらしているのである。それは人類にとっても大きな脅威であるが、それについては後日、改めて記すことにする。
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