今日は日曜日、そんな休日にもかかわらず世界の政治情勢と経済的な動きを書かざるを得ない程、世情が厳しさを増してきている。今回は我が国にかかわる情勢について記すことにする。
先ずは米中の貿易摩擦の激化である。米中は昨年7月以降、相手国からの輸入品に最大25%の追加関税を掛け合い、貿易戦争を引き起こして来ていることは読者もご承知の通りである。
ここにきて、トランプ大統領がは追加関税第4弾として、残りの3000億ドル(32兆円分)に対して、9月と12月に15%の追加関税を実施し、さらにこれまでの第1弾〜第3段までの2500億ドル(26兆円)分に対しも、10月1日から税率を25%から30%に引き上げると発表。
一方、中国政府は追加関税第4弾への報復として750億ドル(8兆円)分に10%と5%の関税上乗せを発表しているが、昨日のトランプ大統領の数値の上乗せを受けて、中国もさらに税率を引き上げる可能性がありそうだ。
こうした報復の連鎖は米中だけでなく世界経済に影響を与え始めているため、我が国をはじめ各国の経済も一段と厳しさを増して来ている。こうした情勢を受けて動き出しているのが株価下落である。ダウ平均は既に28000ドルから26500ドルまで下落して来ているが、こうした動きがどこまで続くか目が離せない状況が続きそうである。
韓国政府が我が国との「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を一方的に破棄し、日韓の関係悪化が一段と進む状況となっているが、こうした事態を喜んでいるのは、北朝鮮と中国、ロシアである。なぜなら、この協定は日米韓にとって重要な軍事的条約であったからである。
中でも日米韓のつながりに亀裂が生じたことを一番喜んでいるのはキム・ジョンウン主席。もう完全に韓国も日本も舐めており、短距離のミサイルは米韓の軍事演習が終わった後も行われており、24日の発射で7回目となっている。
こうした北朝鮮の行動に対して、中国との貿易紛争で頭がいっぱいのトランプ大統領は「キム・ジョンウン主席はとても率直だ。彼はミサイル実験が好きだ。我々は短距離ミサイルは制限していないと」語っている。自国に届かないミサイルはどうでもいいというわけである。
問題は一連のミサイル発射が国連の安保理事会の決議違反であるのにも関わらず、安保理の動きがないことである。安保理が対応を協議したのは今月1日の1回だけである。それも安保理としての公式な会合でなく、非公開で行われたものであった。それはトランプ大統領が前向きでないからである。
安保理の北朝鮮制裁に詳しい米ノートルダム大学のジョージ・ロペス教授は「北朝鮮の弾道ミサイル発射が安保理の決議違反である以上、安保理は北朝鮮を明確に非難すべきである。現在のように安保理が対応しない現状は国際社会が13年にわたって積み上げてきた成果を台無しにしている」と厳しく指摘している。
また、トランプ大統領がキム・ジョンウン主席との良好な関係をアッピールし、短距離であれば、弾道ミサイル発射であっても容認に転じたことは、日本や韓国といった東アジアの同盟国に対する侮辱であり、歴代の米政権が築き上げた東アジアの安全保障体制に対する裏切りである」と非難している。
まさにその通りである。そんなトランプ大統領とぴったりくっついて手を組んでいる安倍総理が我が国を動かしているのだから、先行きが心配だ。
その他にも世界情勢の混乱は様々な形で発生している。
米国が中距離核ミサイル戦力(INF)全廃条約を失効させた後早々に、ミサイルの発射実験を実行。これを受けてロシアも対抗措置をとる意向を発表している。これでまた、核ミサイルの脅威が一段と高まるところとなってしまった。
また昨日からフランスで開かれている「V7サミット」首脳会議も、国際協調に背を向けるトランプ大統領のため、合意文書の作成は出来そうになく、その結果、米国とEU各国との関係悪化は一段と進むことになりそうである。
こうした動きを読者は是非、頭に入れておいて頂きたい。