ここ数年、洪水が多発しているスペイン。北部ナバーラ州で8日夜、記録的な豪雨によって川が急激に増水して洪水が発生。車などが流され道路が決壊、男性1人が死亡。地元州政府によると、この川の水位はもともと10センチほどであったが、雨が降り始めたあとわずか6時間で6メートル近くまで急上昇したようである。
地元の人が撮影した映像には、泥で茶色く濁った水が市街地を急流のように流れ、多くの車がオモチャのように押し流していく様子が映されている。大型のトラックやトレーラーもまるで浮船のように浮いている。
一夜明けた9日には、そうした車が道路に折り重なるようになって、道をふさいでいる姿が街のあちらこちらに残されている。商店街も泥の海で、高価なウエディングドレスが台無しになっている店舗もある。住宅街では家の奥まで泥に浸かった人たちが、泥を除去する姿が痛ましい。
地元の男性は、「想像できないくらいの災難だった。家の中がまるで海のようになり、ドアをしめ、室内の高いところに逃げるのが精一杯だった」と話していた。現地の市長も突然の鉄砲水に対し「まさに自然の脅威だ!!
わずか2時間の雨でここまで被害が出ることは、どんな気象学者でも予測不可能だ」と語っていた。
昨年の西日本豪雨にしろ、今年の九州南部を襲った集中豪雨にしろ3日、4日と続く長雨による被害であるため、避難したり大事な物を2階に移動したりする余裕がある。しかし、夜半のわずか2時間の雨で河の氾濫が起きてしまっては手の打ちようがない。こうした災害がこれから先、我が国でも起きてくる可能性が大きいだけに、近くに河が流れている地区ではご用心、ご用心である。