恐れていたハリケーン「イルマ」は予想通りフロリダ半島に上陸。 その勢力は事前予測より多少弱まったものの、風速は45メートル、場所によっては62メートルに達し、沿岸部では4メートルを超す高潮と相まって大規模な洪水が発生、多くの家が浸水に見舞われた。
ABCニュースを見ていると、取材班もまさに命がけで、強風に吹き飛ばされそうになる場面では、視聴者をハラハラさせていた。 救助隊も出動を止められている状況だけに、何かあったら命を失うことになる、まさに命がけだ。
被災地はハリケーンは通過したものの、新たに洪水が発生している場所もあり、今もなお取材に入れない地域も多く、被害の実態は一部しか明らかになっていない。 しかし、掲載した写真を見ていただければ、被害の大きさがかなりの規模であることはお分かりになるはずだ。
フロリダ州で出された避難指示に多くの人々が従ったようで、避難した人の数は600万人を超していたようなので、米国史上、最大規模の避難数となったようである。 そのため、命を失った人の数は少なくて済んだと思われるが、カリブ海の島々では多くの人が家に残っていたため、30人を超す死者が出ているようである。
数日したら、「イルマ」の被害の実体が明らかになってくるだろうから、被害の規模や損害額などを知れば、改めてその凄さを実感することになることだろう。 「イルマ」の後に続くハリケーン「ホセ」の進路や規模によっては、被災地はさらに追い打ちをかけられることになるかもしれない。
いずれにしろ被災地の復興には相当の日数がかかりそうだが、カリブ海の島の中にはもはや観光地として復活できそうにないところもあるようだ。 島によっては住民の家屋だけでなく、公共施設を含めてその90〜95%が洪水と強風で破壊されているようなので、イギリスやフラン領の島民の中には、本国からの支援があまり期待できないため、島の復興をあきらめている人々も出ているようなので心配だ。
イタリア各地でも10日、豪雨による洪水が発生し、西部トスカーナ州リボルノでは民家が浸水して家族4人が死亡するなど計6人が犠牲になっている。
他にも2人の行方が分かっておらず、雨は降り続いており、救助活動に支障が出ている。
リボルノのノガリン市長は「状況は深刻かつ危機的だ。 町は崩壊寸前だ」と強調。 危険性に対する政府の事前の過小評価が被害拡大につながったと批判し、犠牲者数は「さらに増える恐れがある」と訴えた。
リボルノ近郊に位置する、「ピサの斜塔」で有名な観光地ピサでも多くの店舗が浸水。 倒れた樹木が道をふさいでいる。 洪水は首都ローマ
にも被害をもたらしており、道路が通行止めになり、地下鉄の駅が閉鎖された。
イタリアといえば、昨年8月の死者300人ほどを出した地震以来、今年の8月までに大規模な地震に4回見舞われているが、「イタリアの地震から1年」で既にお伝えしたように、復旧がほとんど進んでいない状況である。 また、「多発する森林火災の真相」に記したように、大型の森林火災にも見舞われておるだけに、今回の地震は、まさに「泣き面に蜂」となっている。
イタリアは財政状況が厳しいだけに、今回の地震の復旧も住民の期待するようにはいかないかもしれない。 しかし、こうしたことはこれから先、地球全体が次々と大規模災害に遭遇することを考えると、どこの国も皆、「明日は我が身」である。 巨大災害に見舞われたら、住民は自力で復旧するか、その地を離れるしかなくなってくるに違いない。