ドイツとトルコとの関係がまた一歩悪化するところとなったようだ。 10日、トルコのエルドアン大統領が 「ドイツでは、人種差別が行われていることを覚悟しなければならない」 として、ドイツへの旅行に警告を発したのに対し、ドイツのメルケル首相は 「 我が国へは全てのトルコ人が旅行することが出来、
トルコのようにジャーナリストが逮捕されたり、刑務所に入れられるようなことはない」 と強く反発するところとなった。
「トルコがロシアからミサイル購入」で記したように、ドイツ政府がドイツに在住しているトルコ人の集会を認めなかったこと
などに反発して、トルコ政府がドイツ人ジャーナリストや人権活動家を相次いで拘束したことから、ここ数ヶ月、ドイツとトルコの関係は悪化傾向にあった。
今回の両国トップの発言はそうした関係をさらに悪化させることになりはしないかと、懸念される。
NATO(北大西洋条約機構)加盟国であるトルコが、そのNATOと対峙するロシアから
、地対空ミサイルシステム「S400」を購入することにしたという衝撃的なニュースも既にお伝えした通りである。 それに関して、先月24日、メルケル首相
は「トルコのEU加盟交渉の凍結、あるいは打ち切りを含めて、9月のEU首脳会議で、協議することにした」と発言している。 それだけに、今回の両首脳の発言はドイツだけでなくEU
(欧州連合)とトルコとの関係にも、悪影響を及ぼすことになりそうだ。
イギリスがEUから離脱した今、ドイツはフランスと共に、EUをけん引する重要な立場にあることは間違いない。 一方、トルコもまた、地理的に欧州諸国
だけでなく、ロシア、中東諸国と接する重要な位置にあるだけに、世界情勢に影響を及ぼす重要な立場にあることは確かだ。 それだけに、今回のドイツとトルコの関係悪化の増幅が
、「米国・EU対ロシア・中国」の溝を深めることになリはしないか、気になるところである。