アメリカのトランプ大統領は、29日、MSNBCテレビの朝の報道番組「モーニング・ショー」で自身が批判されたことを受け、番組を司会していた女性キャスターのミカ・ブレジンスキーさんについて「IQが低く頭がおかしい」と攻撃するとともに、過去に会ったときのこととして「顔のしわをとる美容整形手術でひどく出血していた」などと、容姿を侮辱。 与野党双方の議員からも「大統領の発言とは思えず理解に苦しむ」といった厳しい批判が上がっていた。
我々海外の人間の目から見ても、とても大統領の発言とは思えない恥ずかしい行為だと思っていたところ。 今度は大統領の資質を問いたくなるような内容が、トランプ大統領自身のツイッターに投稿されたのだ。 それは大統領就任前に行われた記者会見の席で厳しい批判質問を受けたCNNテレビ局を揶揄(やゆ)する映像で、再び激しい批判の声が上がっている。
この映像にはトランプ大統領とされる人物がプロレスのリング外で一人の人物をなぎ倒し暴力をふるう場面が描かれており、その相手の顔にはCNNのロゴマークがついており、それがCNNテレビ局を表していることは明白。 その映像は、大統領は頭がおかしくなったのではないかと、疑いたくなるような信じ難いもので、一瞬言葉を失った。
どうやらその映像は先週、トランプ大統領を支持するインターネットサイトに投稿されたもので、大統領によく似た姿が映っているがそれは2007年にプロレスの見学に彼が参加した際に撮影されたもののようである。 こうした経緯で投稿された映像を、大統領は憎きCNNを懲らしめるにはよい映像だと考え、自分のツイッターに自ら投稿したということのようである。
それにしても、なんともお粗末なことをしたものだ。 そんざそこいらのチンピラならいざ知らず、一国の大統領、それも世界の覇権国家とされてきた米国の大統領が自分のツイッターに流す映像ではない。 もはや大統領としての資格を問う以前の行為である。 情けないの一言しかない。
これから先、どんな経済政策や対外政策を打ち出すか知らないが、こんな男が取組むすべての行為が、米国だけでなく世界にとっても良きものとならないことは明白だ。 これから先いつまで、アメリカ国民は大統領としての品位を欠いた情けない男を、自国のトップとして受け入れていくことになるのだろうか。
それにしても、昨今の米国の異常な様子を見ていると、かねてから私が言ってきたように、世界の覇権国家から米国が滑り落ちることは間違いなく、それも時の流れが速まっていることを考えると、世界中の国々や人びとから蔑視され、一気に衰退に向かうことになる可能性は大きそうだ。
国家の衰退が始まった米国
こうした米国の衰退と世界からの信頼度の低下を裏付ける情報が伝えられた。それは、米国の世論調査機関ビューリサーチセンターが先週発表した米国に対する世界37カ国、約4万人を対象とした調査結果である。
先ず米国に対して好感を持つかどうかを尋ねたところ、その比率はオバマ前政権時においては64%だったものがトランプ政権下においては49%と15%減少している。 逆に好感を持たないと答えた人の比率は26%から39%に増加。
更に米国がこれから先、国際問題で正しい行動をとると信頼している人の数は、オバマ政権当時の64%からなんと22%へと激減している。 因みに、ロシア、中国、ドイツの首脳の信頼度を見ると、プーチン大統領は27%、習近平主席は28%、ドイツのメルケル首相は42%となっている。
この調査は今年の春ごろに行われたもののようなので、最近のトランプ大統領の言動、TPPPからの離脱や、温暖化政策のパリ協定からの離脱、それに今回のような報道機関に対する大統領としての資質を欠いた行動を前提に改めて問うた時には、トランプ氏への失望感は一段と強まり、彼の政治に対する信頼感は更に低下していることだろう。
ジョージ・ワシントンを始めジョン・F・ケネディー大統領など、アメリカ国家を世界に冠たる大国に導いてきた歴代大統領は、さぞかし「あの世」で嘆き悲しんでいることだろう。 しかし、こんなお粗末な大統領を選ぶことになったのは、米国自身がこれまで行ってきた数多くの戦争や9・11同時テロなどの偽りの行為が導いた結果であることを考えると、 残念なことであるが、歴史から名を消したローマ帝国などの大国と同様、これから先、国家滅亡に向かって進んで行くことは避けられそうになさそうである。