「NATO」対「ロシア」
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リトアニアに派遣されることになりそうなNATO軍部隊
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このところ一見落ち着いているかのように見える世界の政治・経済情勢であるが、実は水面下でじわりじわりと動き出している兆候が見え始めてきた。 一つはロシアと欧米の対立、ギリシャの債務危機問題の再燃、さらには、アメリカドルの急落などである。
クリミア半島併合やウクライナ問題から始まった欧米とロシアとの対立は、今もなお続いたままであるが、ここに来て、東欧に駐留するアメリカ軍の艦艇や偵察機に対して、ロシアが戦闘機を異常接近させるなどの挑発的行為が繰り返されて来ている。
こうした状況を受けて、米国の情報筋によると、NATO(北大西洋条約機構)はロシアの脅威が高まってきたとして、ロシアに接したリトアニアなどバルト3国にアメリカ軍、イギリス軍、ドイツ軍を中心とした部隊を派遣する方向で動き始めたようである。
特にリトアニアにはドイツ軍の指揮の下、1000名を越す大がかりな部隊を投入することになりそうである。 部隊派遣の最終決定は7月にワルシャワで開かれるNATO会議で決定されることになっている。
バルト3国がNATOに加盟する条件として、NATO部隊を領土内に駐留させないことが、NATOとロシアの間で協定が結ばれているだけに、ロシアの反発は必至で7月に向けてロシアの動きが注目される。
7月といえば、ギリシャの債務返済の時期でもある。 債務返済が出来なくなる可能性は多分にあり、一時60%の支持率を集めていたチプラス首相も、EU寄りの姿勢に転じたことから20%前後にまで支持率が落ち込んでいるだけに、これから先7月に向けて、ギリシャが再び世界の注目を浴びることになる可能性は大きい。 どうやら7月
から秋口に向かって、世界情勢が再び混乱状態に陥ることになりそうな気配である。
ドルの急落(円高)と日本株の暴落の危険性
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午前中300円を超す株高は、日銀の発表を受け1000円近く急落
その後先物取引ではさらに400円ほど下落している。 来週月曜日の動きに注目
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米国のドルの下落問題も世界の経済動向を占う上で見過ごしには出来ない問題となってきている。 ユーロや円に対して上昇し続けて来たドルであるが、ここに来て「急激なドル安」に向かう兆候が見え始めて来ているからだ。
アベノミクスが始まる前、1ドル=80円ほどだったドルは120円台、つまり50%も上昇をして来ていたのである。 これだけのドル高、円安が続けば日本の輸出企業はいやでも儲かってしまう。 トヨタ自動車が1兆円を超す利益を上げているのを見れば、輸出企業がどれほど潤ったか分かるだろう。
一時はさらなるドル高・円安が進み1ドルが130円、中には150円もあり得ると語っていた経済評論家もいたが、ここに来て為替相場は一転してドル安が本格化し始めたようだ。 米国の為替市場では昨日1ドルが106円30銭まで急落し、1年半ぶりの安値をつけてきている。 恐らく高低を繰り返した後、そう遠からずの内に100円を割って90円台に急落してくるものと思われる。
大統領選でドナルド・トランプ氏が盛んに日本に対して厳しい見方をしており、アベノミクスによってもたらされたドル高・円安は米国の輸出企業に多大な損出をもたらしたと言及していることも、これから先、ドル安・円高相場に拍車をかけることになりそうである。 それは即、アベノミクスの崩壊を意味するだけに、我が国の輸出産業にとって大打撃となることは必至である。
実は早くもその動きを先取りするような動きが、株式市場で始まっている。 連休直前の先週の28日(木曜日)、日本銀行のさらなる金融緩和に期待していた投資家は、金融緩和なしの決定を受け、肘鉄を食らった格好で大慌て。 1ドル111円台から108円台への3円もの円の急騰を受けて、日経平均は642円急落して16,666円となっている。
実は日経平均はその後の先物市場でさらに売られ、16,275円と現物株よりさらに400円近く下げている。 したがって、来週の月曜日(5月2日)の下げ相場は少々きつくなるかもしれない。 特に、特連休で金曜日まで市場が休みになるため、暴落を恐れての投げ売りが出る可能性があるだけに、下落幅は大きくなるかもしれない。
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