EU離脱か残留か
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大英帝国イギリスの行方を占うEU離脱を巡る国民投票日が2日後に迫った。
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2日後に迫ったイギリスのEU(欧州連合)からの離脱か残留を決める投票日の行方を、今ヨーロッパのみならず世界が固唾をのんで見守っている。 その結果次第では、イギリスの通貨ポンドや世界の株式市場に大きな影響を与えるばかりか、他の国々においても、EUからの離脱の動きが加速する可能性が大きいからである。
実は離脱の動きは他の国々でも既に始まっており、 フランスやオランダ、デンマークなどで離脱賛成派の右翼系の党派が勢力を伸ばしている。 さらにここに来て、イタリアとスペインでその動きが始まっているのが気になるところである。
先日行われたイタリアの統一地方選挙では、首都ローマの市長選挙で「反EU」を掲げる野党「五つ星運動」の37歳の女性弁護士ラッジ氏が与党の候補者を大きく引き離して当選。 また、大都市トリノ市長にも同じ「五つ星運動」の女性候補アペンディーノが当選している。
スペインに至っては、昨年12月に行われた国の議会選挙では、わずか2年前に結成された少数野党の「ポデモス」党が第2位の地位に躍進。 その結果、ラホイ首相率いる与党「国民党」が過半数を獲得することが出来なかったばかりか、野党との連立を組むことも出来なかった。 そのために6ヶ月間にわたって首相が決められない混乱状態が続き、今月26日に再び議会選挙が行われることとなった。
最近の世論調査によると、ポデモス党の支持率はさらに上がり、与党「国民党」の29%に対して26%まで上昇、第一党にあと一歩のところまで迫っている。 この様子では仮に国民党が第一党となったとしても、ポデモス党と連立を組まない限り政権を担うことは不可能となりそうである。
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昨日行われたテレビ討論会には5000人の参加者が詰めかけた |
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イタリアやスペインのこうした動きの背景にあるのはギリシャも同様であるが、EUから受けた金融支援により実施された厳しい緊縮策による、低所得者層の日々の生活不安である。 一方、EUの中では裕福なイギリスやフランス、オランダ、デンマークにおいても反EU運動が起きているのは、貧困国に対する多額の融資への不満や、自国の主張が反映さないことに対する不満である。
今回のイギリスの国民投票はこうしたEUに対する不満がくすぶり始めている中で行われようとしているだけに、その結果を世界が注視するのは当然のことである。 EU議会のシュルツ議長は昨日の記者会見で、「もしも離脱派が勝利することになれば、EU分離の始まりとなる可能性が大きい」と離脱の連鎖に対する懸念を表明している。
さて、国民投票の結果はどうなるだろうか。 先日、残留を支持する女性議員の暗殺事件によって、やや劣勢でだった残留派がわずかながら離脱派を上回る状況となっているようだが、その差はわずかなので、両者とも予断を許さない状況となっている。
ただ、今日のイギリスBBCが伝えたニュースの中で、気になる点が一つあった。 それは、昨日首相官邸の前で国民向けの演説をしたキャメロン首相の発言を聞いた、首相の元戦略アドバイザーだった人物が、「今回の首相の演説は全体として残留派の負け予期した者が語るような内容だった」と述べている点であった。
いずれにしろ、私は今回の国民投票にかかわらず、これから先EUは中東からの難民問題や各国の経済減速による国民の生活不満で大きく揺れ、離脱を求める声が大きくなり、政情不安に陥ることは避けて通れないのではないかと思っている。
そうした動きは通貨ユーロ安と株価の下落を誘発、ヨーロッパだけでなく世界の経済を混乱に陥れることになることは必至である。 いずれにしろ、これから先世界がますます混乱状態に陥ることは、避けて通れそうもなさそうである。
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首相官邸の前で行われたキャメロン首相の演説
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