ドイツ
: フォルクスワーゲン/ドイツ銀行破綻
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危機的状況にあるドイツ銀行に対し、フォルクスワーゲン社
への1兆円の融資を指示したメルケル首相
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ヨーロッパを代表する国々の混乱が深まって来ている。 ドイツで発生した自動車メーカー・フォルクスワーゲンの排気ガスの不正問題はとりあえず一息ついた状態だが、信頼の回復にはまだ多くの難問が残されている。 それよりさらに大きな難問は、世界第4位の規模を誇るドイツ銀行の破綻危機である。
日本ではあまり報道されていないが、ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行の破綻の危険性は日を追うごとに大きくなってきている。 ドイツ銀行が抱えたデリバティブと呼ばれる不良債権は75兆円に達していると言われており、もしも破綻状態に立ち至った際にはドイツ政府も簡単に救済できる額ではなくなっている。
メルケル首相はそんなドイツ銀行に対し、フォルクスワーゲンに1兆円の融資をすることを指示、経営危機に追い打ちをかけている。 ドイツ政府は健全財政として世界から評価されているが、実はこうして借金を銀行に肩代わりさせ健全に見せかけている面があり、そうした政府の方針を安易に受け入れてきたことも、ドイツ銀行が破綻の危機に陥っている大きな要因となっているのだ。
昨日の外電では、ドイツ政府の発行する国債がマイナス金利になったことを伝えている。 三菱、三井と言った日本を代表する銀行が、日銀のマイナス金利導入で経営が厳しくなって来ていることを考えれば、すでに経営危機に陥っているドイツ銀行が国債のマイナス金利で、さらなる痛手を受けることは大きな問題である。
ドイツ銀行の破綻はリーマンショックを上回る金融危機に、世界を巻き込むことになる可能性が大きいだけに、これから先、ヨーロッパの経済情勢からは目が離せない日々が続くことになりそうだ。
イギリス : EU残留を問う国民投票
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EU残留を訴えるキャメロン首相
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そのヨーロッパの経済情勢を更なる危機に陥れようとしているのが、イギリスのEUからの離脱問題である。 離脱の是非を問う国民投票は今月23日。 キャメロン首相をはじめとする残留派が、経済の落ち込みを柱に離脱に反対する運動を展開する一方、離脱派は移民・難民の流入をこれ以上受け入れないことを旗印に離脱を呼びかけている。
最新の世論調査では、わずかであるが離脱派が残留派を上回っているようであるが、昨日米国フロリダ州で発生した史上最悪の銃乱射事件は、アフガニスタン系人によって引き起こされただけに、離脱派をさらに優位にすることになるのではないかと思われる。
もしも、離脱が決まった際にはイギリスだけでなくEU全体、さらには世界経済に衝撃を与えかねないだけに、世界は今、投票の結果を固唾を飲んで見守っているところである。
フランス :
大規模デモ/サッカー乱闘/新たなテロ
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14日、パリ市内で100万人を越す大規模デモが行われた
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12日、ロシアとイングランドの試合後にサポーター同士が争う事件が発生
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13日には、ISに忠誠を誓った男によって、警察官とその妻が殺害されるテロが発生
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昨年11月、パリで発生した同時多発テロ以来、非常事態宣言が今も続いているが、フランス社会にはその後様々な面から混乱が広がってきている。
大統領が推し進める労働法改正案に対する労働者や学生などからの反対運動が、日増しに強くなって来ており、鉄道や航空関係者によるストや石油関係会社の従業員によるストなどで、日常生活に影響が大きく広がってきている。
大規模なデモも回数を重ねて、14日にパリで行われた9回目のデモには130万人が参加したとされており、最大級のデモとなった。 そんな状況下IS(イスラム国)によるテロも続いており、今日の「フランス2」テレビは、
13日夜に警察官とその妻が自宅でIS(イスラム国)に忠誠を誓う男によって殺害されたニュースを伝えている。
パリを混乱状態にしているのは、デモやテロだけでなくサッカーの欧州選手権も一緒である。 先週末(12日)には、ロシアとイングランドの試合後に両者のサポーター同士が争う事件が発生し、複数の負傷者が発生。 欧州サッカー連盟は、応援参加者にアルコール販売を停止したり、再び同様な暴動が発生したときには、両チームを失格処分にすると警告を発表している。
さもなくても今EU(欧州連合)ロシアはポーランドとバルト3国に、対ロシア作戦のための4つの部隊4000人の配備を巡って嫌悪な状況となっているだけに、ロシアチームの失格が発生したときには、政治的影響が懸念されている。
スペイン : 政局の混乱による6ヶ月の空洞
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ポデモス党のイグレシアス党首への支持が高まれば、スペインはさらに混乱しそうだ。
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スペインでは昨年12月に議会選挙が行われ、ラホイ首相率いる与党が過半数を割ったことから、4つの党による連立政権樹立に向けての交渉が続いてきたが合意に達せず、今月26日に結局再選挙が行われることとなった。
6ヶ月を越す間、政権を担う政党が決まらずに来たのはまさに異例で、その間、議会は開かれず重要な案件は一切決まらない状況が続いてきたのである。
スペインでは長い間、国民党と社会労働党が交互に政権を担ってきた。 そこに振興政党である左派のポデモス党と中道右派の市民党が勢力を伸ばしてきて、前回の選挙で4党が相争う体制が
生まれた。 26日の選挙でも、1党が過半数を得ることは難しいため、再び連立をどこと組むかの交渉が行われることとなるものと思われるが、各党の意見が大きく異なっているため、再び交渉の難航が予想されている。
こうして見てみると、今やヨーロッパを代表するドイツ、イギリス、フランス、スペインはまさに混迷状態と化して来ており、先行きはますます暗くなるばかりである。 世界一「呑気な国・日本」にいては、一見平和そうに見える世界情勢も、決して安心できる状況ではなく、一歩間違えば、世界が危機的状況に陥る可能性が日に日に増して来ているだけに、その行方を注意深く見守る必要がありそうだ。
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