EU首脳会議で窮地に立つ英国
|
|
|
|
EU首脳会議ではキャメロン首相から離脱の申請は出なかった。
|
|
28日、EU本部のあるベルギーのブリュッセルで始まったEU首脳会議。 EU(欧州連合)からの離脱を決めた英国のキャメロン首相から、投票の経緯についての説明が行われたものの、離脱通知は為されないまま終わり、離脱に関する協議は9月の新しい首相が決まった後になることになりそうである。
これに対して、離脱手続きを急いで一時も早く決着をつけ、自国に同様な離脱の動きが起きることを防ぎたい各国首脳からは、かなり厳しい意見が出されたようである。 それは会議場に入る首脳たちの離脱劇に対する動揺や怒りを露わにした発言にも現れており、英国の離脱手続きを楽にしてやろうなどという気持ちは毛頭ないように見受けられた。
これまで穏健な離脱手続きを目指すべきだと、英国に対する気遣いを見せてきていたドイツのメルケル首相においても、首脳会議に先立ち行われたドイツ議会での「EUとしての義務だけは逃れ、特権は維持しようとすることは許されません」という厳しい発言に現れていた。
今回のEU離脱で英国が受ける最も大きな反動は、輸出の大半を占めるEU各国から、米国や日本と同じように関税が課せられることである。 EUに対する拠出金は支払わず、難民の流入は拒否し、これまで通りよい条件で輸出を続けたいという英国のいいとこ取りは許されないぞというのが、各国首脳の強い反発心となっているのである。
EU各国からのこうした反発だけでなく、昨日には主要な格付け会社2社が、離脱を選択した英国の国債に対し格付けの引き下げを発表しており、これから先英国は様々な面において厳しい局面に立たされることは避けて通れそうもなさそうである。
トルコ空港でまた自爆テロ発生
|
|
|
|
|
|
今年に入ってからだけでも様々なテロ事件で多くの死者を出しているトルコ。 そのトルコでまたまた少なくとも31人が死亡、140人以上の負傷が出る自爆テロが発生。 死者数は50人に上がるという情報もあり、今夜のテレビでその詳細は明らかとなるはずだ。
(追記 : 6月30日現在死者数は41名、負傷者240名に達している)
今回のテロは28日夜(日本時間29日未明)にトルコ最大の都市イスタンブールのアタチュルク空港で起きたもので、地元メディアはIS(イスラム国)の戦闘員3名による犯行の可能性が高いと伝えている。
トルコではIS(イスラム国)やクルド武装勢力によるテロだけでなく、ロシアとの対立の深まりなどによって外国人観光客が半減してきており、観光業界にとっては大変な痛手となっている。 そのためトルコ政府は、昨日、ロシア政府に対し、先に発生したロシア機撃墜に対する謝罪声明を出し外交関係の回復をはかると共に、事実上断絶状態にあるイスラエル政府との関係修復にも動き出したばかりである。
今回の自爆テロが年間の利用客が6000万人を上回るトルコ最大の空港で発生したことは、トルコ国民のみならず、海外からの観光客にとっても大きな衝撃となっており、観光客はさらに減少することは間違いなく、
トルコ政府にとっては大きな痛手である。
トルコはEUへの中東諸国からの難民の流入口となっており、それを抑えるために先般、EUとの間に協定が結ばれギリシャへの難民の流れを抑えていることは、ご承知の通りである。 それだけにこれから先、国内の混乱が発生してくると、この協定そのものが危うくなって来る可能性が大きく、EU諸国にとっても一大事である。
英国のEU離脱の主要な要因が難民流入を抑えることであったことを考えると、トルコ情勢いかんではEU内での移民問題が発生、各国間の論争が再発する可能性もあり、EUは更なる混乱に陥ることになるかもしれない。 今や中東からヨーロッパにかけての情勢は、日本人の考えているほど甘いものでないのだ。 世界はやがてやって来る阿鼻叫喚の世界に向けて、一歩一歩、動き始めているようである。
|