米ソ冷戦最悪期に逆戻り
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ルーマニアのデベゼルには米国の迎撃ミサイルが配備され稼働。 ポルトガルの
レジコボでも配備の準備が始まっている。 一方、ポーランドとリトアニアに挟まれた
ロシアの飛び地カリーニングラードには、ロシアの最新式ミサイルが設置されようとしている。
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「悪化し続ける世界情勢」で、東欧のルーマニアに配備されていた米国の地上配備型の迎撃ミサイルが稼働したことや、ポーランドで建設が始まったミサイル施設がロシア領土からわずか150キロしか離れていない場所であることから、今後、ロシア政府がそれなりの対抗措置をとる可能性が大きく、「ロシア対欧米」の対立がさらに深まることが懸念されることを伝えた。
12日の稼働後からわずか数日後に、予測通り、ロシアの反発的動きが始まった。 NATO(北大西洋条約機構)加盟国との国境沿いで空爆演習が繰り返し行われたり、バルト海の米国海軍の艦船のすぐ近くに戦闘機を飛ばすなどなどの反発的行為が繰り返し行われている。
ロシアはこうした嫌がらせ的な行為だけでなく、ポーランドとリトアニアの間にあるロシアの飛び地領土のカリーニングラードに最新式のミサイルの設置や、黒海のクリミア半島に軍事基地を増強したり核搭載の爆撃機の配備なども計画されているようである。
こうした状況についてフランスのテレビ局F2は、冷戦時代の最も対立が激しかった頃を思い起こす、と状況がかなり厳しくなって来ていることを伝えている。 欧米もロシアも今すぐ戦闘行為に入ることは考えているわけではないだろうが、こうしていざという時に備えて、お互いに着々と準備を整えていることは紛れもない事実である。
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東欧諸国との国境沿いで展開されたロシア空軍の空爆演習 (フランスF2)
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バルト海の米国の艦船にわずか10メートルの距離にまで
接近して飛ぶロシア軍機。 写真からパイロットの顔が鮮明に分かるほど
だったというから、ちょとしたミスで大変なことになっていたかもしれない。
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一方、世界戦争のきっかけとなりはしないかと懸念されているのが、EU(欧州連合)内の亀裂である。 その最大の要因となるのが難民問題であるが、前回記したように4月に結ばれたトルコとEUとの難民協定も、トルコ国民に対するEUのビザ免除が実施されなければ破棄される可能性が大きい。
そうなれば、EU各国では難民の受け入れについて国を二分する論争が再燃されることは避けられそうにない。 この際問題になるのが極右勢力の台頭である。 先日イギリスのMI6(イギリス対外諜報機関)の元長官がある会合で、「EUが難民問題をうまく調整出来なければ、極右勢力が蜂起して暴動を起こす可能性が大きい」と警告していた。
現に、オーストリアでは難民流入阻止を旗印にした極右政党の党首が大統領になりそうである。 こうした動きはこれから先、ドイツを含めてどこの国でも発生する可能性は大である。 となるとあとは中東諸国において難民発生をいかに抑えるかであるが、昨日行われた我が国も初めて参加した和平プロセスを協議する会議などの様子を見ると、あまり希望は持てそうもなさそうだ。
当面はEUとトルコとのビザ免除を巡る動きと、シリアとリビアの和平協議の行方を注意深く見守ることになりそうだが、EUとトルコとの協定が破棄されればエーゲ海経由でギリシャに、リビアの和平が破綻すれば地中海経由でイタリアに、再び大量の難民が押し寄せることになる。 どうやら6〜7月がその正念場となりそうである。
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17日、オーストリアのウイーンで日本も参加して行われた22ヶ国による
「シリア和平・支援国会合」。 残念ながら大きな成果は期待できそうもないようだ。
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