米国とイスラエルにすきま風
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4月28日、連邦議会で開かれた上下両院会議で演説するジョー・バイデン大統領
後方はハリス副大統領(左)とペロシ下院議長 |
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トランプ大統領が米国とイギリス、フランス、ドイツ、中国、ソ連の6カ国とイランとの間に結ばれた核合意から離脱し、イランに対する制裁を復活したのは2018年。この対イラン敵視政策を誰より喜んだのはイスラエルのネタニヤフ首相であった。
その後、トランプ大統領は中東の大国・サウジアラビアとの友好関係を強め、武器を供与すると同時に敵対関係にあったサウジアラビアとイスラエルとの友好関係を促進させた。その結果発生したのが、イランとサウジアラビアの対立であった。また、長い間続けて来たイスラエルとイランとの対立関係は、一段と強まり中東情勢は悪化するところとなった。
こうした情勢の中で一番心配されたのが「核合意」から離脱したイランの「核開発
」への復帰と、それに対してイスラエルが行った2度にわたるイランの各施設への攻撃であった。これ以上イスラエルとイランとの対立が激化することは、中東諸国を巻き込んだ両国間の紛争に発展しかねないことから、ヨーロッパ諸国など世界の懸念は一段と高まるところとなった。
そんな中、トランプ氏に代わって登場したバイデン大統領は一転
して、6カ国とイランとの核合意への復帰を宣言し、イランに対する圧力を止め対話路線に戻ったのである。今世界が注目しているのは米国とイランとの関係がどこまで改善されるのか、イスラエルによるイラン敵視政策が収まるかという点である。
トランプ大統領とネタニヤづ首相による米国とイスラエルの友好関係は、
米国とイランとの関係を悪化させ、中東情勢を緊張化させるところとなった。
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実は今回のバイデン政権によるイランとの関係改善政策は、イランとイスラエルとの間に入って難しい立場に立たされていたサウジアラビアにとっても朗報であった。先般、サウジアラビアのムハンマド皇太子は記者会見で
、「米国がイランとの関係を正常に戻すことになることは、喜ばしいことである」と語っていた。これは皇太子の本音であったに違いない。
これで中東諸国間でくすぶっていた「分裂」と「対立」が解消されることになれば、世界にとっても一安心である。
あとは今行われているイスラエルにおける首相選挙によって、中東諸国との対立を懸念する人物がネタニヤフ氏に代わって政権の座に就くかどうかである。
その結果次第では、イスラエルと中東諸国との関係悪化が防げるだけでなく、イスラエルによって長い間、土地を奪われ悲惨な状況に置かれてきたパレスチナにとっても光明が射して来ることになるかもしれない。
是非そうあって欲しいものであるが、もしも、一貫して核合意に反対するネタニヤフ氏が再選されるようなことになれば、彼には米国の大富豪のユダヤ資産家がついているだけに、楽観視は出来なさそうである。
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