このところ、コロナ禍に関するニュースなどで最新の気候変動に関する情報をお伝えすることが出来ずにいたが、ヨーロッパ
各地では異常な寒波に見舞われており、農作物に致命的な被害をもたらしているようである。既にIn
deepではお伝えされているが、念のためお伝えさせて頂くとにした。
ヨーロッパの寒波は今年に限ったことではなくここ数年発生しているのだが、その要因は通常なら北極圏の上空を循環している極めて冷たい大気が、気圧の異常な配置により一気にヨーロッパ大陸に流れ込むことによって発生しているものである。
その結果、ヨーロッパ各地で広く被害が発生しており、国や地域によっては、過去数十年、中には過去100年来の「春の寒波」に襲われて
いる所もあり、特にフランスではその影響が大きく出ているようである。
フランスと言えばワインの有名な生産国であるが、そのワイン用のブドウ畑が
甚大な被害を受けており、急激な気温低下から守るために、ブドウの木の横にローソクを灯したりしたものの効果なく、地域によっては90%近くが霜によって壊滅的な被害を受けているようである。どうやら、今年はフランス製のワインは食卓に乗ることはなさそうである。
被害を受けているのはブドウだけでなく、4月には様々な農作物の種まきや植え付けが始まる時期であることから、マイナス10℃近くに達する寒気による凍結と朝の霜により
、ほとんどの野菜が育たず、農作物全体が壊滅的な状況に陥っているようである。
フランスは今コロナ禍で厳しい被害に遭遇しており、感染者数は529万人と米国、インド、ブラジルに次ぐ4番目となっているだけに、農家の方は大変である。
他のヨーロッパ諸国でも同様な被害が広がっており、イタリアでは4月に入って襲った異例の寒波でリンゴの木などが霜で凍結、またベルギーでは一部地域で20センチ以上の雪が降り、スロベニアでは過去100年で最も寒い4月の朝となり、最低気温は−20.6℃に達し、観測史上で4月で最も低い気温を記録している。
これでは果物や農作物に被害が発生して当然である。
同様な異常な寒波はヨーロッパだけでなく米国大陸をも襲っており、2月には北極から流れ込んだ換気が南部にまで流れ込み、テキサス州ではマイナス10℃に達するこの冬の嵐で20人が死亡している
ことは、既にお伝えした通りである。
我が国では異常気象は寒気ではなく異常な気温上昇をもたらしており、先日「
我が家周辺の春を撮る」でお伝えしたように、桜やツツジの開花
が20日から1カ月近く早くなる状況が続いている。
しかし、今のところ農業面で大きな被害が出るようなことにはなっていないため、不安視しておられる方は少ないようであるが、いつフランスや米国のよう
に、米作や畑作に致命的な被害が発生することになるか分からないので、各自備蓄だけはしっかりやっておきたいものである。