16日、スイスのジュネーブでバイデン大統領とプーチン大統領の首脳会談が行われた。
先般HPでもお伝えしたようにロシアのハッカー集団による米国東部に設置されたガスのパイプラインや、世界最大の食肉加工会社に対するハッカー攻撃などで「冷戦後最悪」と言われる中での対談となったが、両者とも「対立は望まない」とする姿勢であったことから、さしたる成果は得られなかったが、特にもめることなく終わったようである。
それより、私が注目したのは新政権誕生後のイスラエル政権の動きである。先般、イスラエルにおいて12年間首相の座についていたネタニヤフ首相が退陣し、ベネット首相による新政権が誕生したことはご存じのことと思う。
問題は新政権の構成内容である。ベネット首相率いる新政権は首相が属する極右政党から中道、左派政党、アラブ系政党まで8党が参加する連立政権であるだけに、こうした連立状態がどこまで維持できるかという点である。
中でも私が案じているのは、パレスチナに対する対応がどのようになるかという点である。首相を搬出した極右政党とアラブ系政党はパレスチナ問題に対しては正反対の立場に立っているからである。私は新政権は遠からずして分裂することになるのではないかと思っているが、さて、どうなるであろうか。
そうした不安を抱えた状況下で、早速発生したのがイスラエル軍によるパレスチナ自治区のハマスの軍事拠点への空爆であった。エルサレムの旧市街地で15日、数千人の極右ユダヤ人が集まり、「エルサレムは我々のものだ」「アラブ人に死を」と叫んで行進。この行進に反発したハマスが発火装置を積んだ風船を発射したことに対する攻撃であったようである。
エジプトなどの仲介で先月21日に停戦していたが、今回の空爆によって新たな攻撃合戦が始まるのではないかと心配である。どうやらイスラエルによるパレスチナに対する武力行使は、新政権の誕生後も続くことになりそうなだけに、積み重なる「カルマ」はかの国を遠からずして国家破綻へと導くことになりそうである。