シリアやアフガンからの難民たちは厳しい寒さの中、今でも1日3000人を越す人々がヨーロッパに渡ろうと行進を続けており、先日はギリシャに渡ろうとしたボートがトルコ沖で荒波で転覆し、30人を越す死者が出たニュースが流れた。
そうした映像を見るたびに心が痛むところであるが 実は厳しいのは難民たちだけではないようだ。 カタールのTV局 ・
アルジャジーラが伝えるところでは、シリアの反政府軍が支配している首都ダマスカスの近郊・マダヤでは、街から逃れることの出来ない4万3000人ほどの人々が、難民以上に厳しい環境におかれて暮らしているようだ。
街が政府軍に包囲されているため物資が搬入できず、また住民は街から逃げようとすると、街のあちらこちらに配置された狙撃兵に狙われ、地雷も埋められているため身動きがとれなくなってい
る。 そのため、
街には電気も灯らず、食料品をはじめ医薬品や暖房用の灯油なども枯渇したままで、闇商人から大金を払って購入
できる一部の人間以外、それらを手にすることが出来ない状況が続いているのだ。
こうした厳しい状況は街が政府軍に包囲されて以来、既に半年以上にわたって続いており。 さらにそうした劣悪な状況に、正月明けから降った雪と厳しい寒さが追い打ちをかけている。 まさにマダカの街は生き地獄と化しており、幼児や老人を中心に飢餓や寒さで亡くなる人々も出てい
るようである。
こうした状況はマダカに限ったことではなく、同じような厳しい環境に置かれた街は他にもあるようだ。 もしも、今回のサウジアラビアとイランの国交断絶によってシリアの和平協議が挫折するようなことになれば、
こうした街にいる人々は土地を離れることも、国外に逃れることも出来ぬまま地獄絵の中に身を起き続けることとなってしまう。
「砲弾で死んだ方がよかった!」とつぶやく飢餓でやせ衰えた男性の姿を見ると、今や人類はホピの予言が伝える 「生き残った人々が、死者をうらやむほどの艱難」に直面していることを実感する。
読者におかれても、こうした艱難が遠からずして明日は我が身となることを忘れないことである。