正念場を迎えた中国
 

 


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「鬼城」と呼ばれる巨大な幽霊都市群の出現が、中国経済を崩壊へと導いた。

 
 

地球を取り巻く危機的状況はじわりじわりとその度合いを増して来ている。 経済的危機、社会の崩壊、人心の混乱、異常気象 ・・・・ 世界各地から伝えられるニュースは心が暗くなるものばかりである。 忙しさに紛れてそうしたニュースを見逃し、聞き流している人々にとっては、世の中はいつもと変わらないではないか、と思われるかもしれないが、昨今の世界情勢は過去6回にわたって繰り返された人類滅亡の危機と同様な艱難に、刻一刻と近づいて来ていることを示している。

世の中何も変わらないように見えるのは、その動きがゆるりとしているため、多くの人々が感づかずに見逃しているからである。 しかし、これから先、時の流れの加速化にあわせて動きが本格化した時には、気づくことになるのだろうが、その時では遅いのだ。 それゆえ、私はこれまで時の到来の近いことを本に著し、講演会で語り、HPで伝えて来たわけである。

ここに来て、変化を示す放物線が急激な弧を描き始めようとしている。 それは具体的な事例で言うなら、次のような現象として現れて来ている。

@ 中国の景気減速
A シリア、イラクを中心とした中東紛争の拡大
B 難民・移民問題で分裂に向かうEU(欧州連合)
C シェールガス会社の連鎖的倒産による第2次リーマンショックの発生
D 原油価格の低迷がもたらす、湾岸諸国やロシアなど石油産出国の財政破綻

これから先、いよいよこうした問題が表面化し、世界は混乱状態に陥ることになるが、それぞれの問題がどれだけ危機的状況に陥っているかをしっかり認識してもらうために、その実体をお伝えすることにする。 先ずは@の「中国の景気減速」と、民衆の間に発生し始めた不安と不満についてである。  

 

鉄鋼・セメント業界の惨状

 

中国経済の減速については、既に読者は十分にご承知のはずである。 しかし、それがどれほどの規模で、国民の不安や不満がどれほど高まっているかについては、十分に把握できていないのではなかろうか。 その詳細を伝えることは紙面の関係で出来ないが、景気減速の影響が端的に表れている鉄鋼やセメントといった不動産開発関連業界の状況を一例としてお伝えすることにする。

長い間、中国の経済成長を牽引してきたのは不動産開発関連業界。 リーマンショック後に中国政府が60兆円に達する巨大な資金を投入してきたのがこの業界であった。 しかし、中央政府と地方政府が力を注いだ不動産開発は余りにずさんであった。

計画性に欠けその場主義的で、さらに政府の要人が見返りを求めたため、不必要な都市が次々と建設され、度を超した設備投資が行われるところとなった。 その典型的なものが、人の住まない「鬼城」と呼ばれる巨大な幽霊都市群の出現であった。

その結果、60兆円の投資は一時的には経済発展をもたらしたがピークを過ぎた今、将来に大きなツケを払うこととなった。 ツケとは不動産開発関連業界、つまり、鉄鋼業業界やセメント業界などにもたらした「過剰生産」、「不良債権」、「環境破壊」である。 

鉄鋼業者やセメント業者がいかに過剰生産状態に陥っていたかを知る上で重要な数値がある。 中国の鉄鋼製品の元となる粗鋼の生産量は年間8億トン。 この量は世界の生産量のなんと半分に達しており、生産能力はさらに3億トン増の11億トンを超えている。

 
 

 
 

 
セメント業界の50%の倒産は必至
 

 
 

 
 


半年分の給料を受け取っていない。ご飯を買う金すら
ないと、倒産したセメント会社の社員たちは訴えている
 

 

これだけの巨大な規模に膨れあがった過剰生産市場に値崩れが始まったら、価格の下落に歯止めがかからないのは当然。 その結果、現在、鉄鋼業社100社の内半数以上が赤字となっており、鉄鋼業界全体が倒産、整理、再編の荒波に襲われている。

不動産開発投資の関連企業であるセメント業界も失速が鮮明化し、年間40億トンの生産能力を持つ業界は、昨年の販売量はおよそ半分の23億トンに激減している。 こうして、鉄鋼業の町、河北省の西安市やセメント工場の町、石家荘市からは従業員がいなくなり、町は灯が消えた状態と化してしまっている。 

失業者数は鉄鋼、セメント、ガラスなどで100万人、石炭関連で130万に達しおり、こうして職を失った人々の再就職が進まなければ、経済再生はおろか、社会は不安定化に向かうことは必至である。 現に、失業者による抗議デモが各地で頻発し始めている。

こうした計画性を欠いた無謀な不動産開発によって発生した不良債権の額は、昨年末で既に22兆円に達しており、いま中国では国有銀行をはじめ多くの銀行の倒産が始まろうとしている。 その前兆として始まっているのが株価の急落で、中国の主要な株式市場である上海株の指数は、ピーク時の半値まで下落してきている。 

不動産開発企業の他にも、雇用確保を維持するため、赤字状態のまま、地方政府や銀行から資金繰りの支援を受けて生き延びている企業もたくさんある。 俗に言われている「ゾンビ企業」で、その数は既に中国の上場企業の10%を越していると言われている。

こうした不良企業をそのままにしておいては中国社会は間違いなく崩壊する。 共産党政権もそれは十分に承知しており、5日から開かれた全国人民代表大会(全人代)で、李克強首相は「腕を切り落とす覚悟」でゾンビ企業の整理を行うと明言している。 周近平率いる共産党政権は「腕を切り落とす」程度で済むか、おのれの「首を切り落とす」ことになるか、これからが正念場である。

 
 

 
 


全人代で「腕を切り落とす覚悟」が必要と訴える李克強首相

 




 

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