このところ急反発している日本の株価、一昨日は1200円を越す急騰。 その後、欧米の株価が上昇していただけに、市場参加者は昨日も当然値上がりするものと思っていたことだろう。 しかし思惑とは裏腹に、朝方は300円近く値上がりしていたが、引けにかけて失速し34円高で終了。
株取引をする一般の方には「なぜ?」と思われたことだろうが、別に驚きでも何でもない。 1200円の急騰劇の裏には、政府の思惑によって年金資金を使っての大量買いが行われていたからである。 急騰を目論んだ年金資金の運用者は、前日の取引の終了後、先物取引で値を上げて明日は急上昇するぞと予告していたことを見れば、そのからくりはすぐに分かる。 みな豊富な資金源である年金資金を使っての工作である。
政府や日銀は世界的な株価急落の中、16000円を歯止めにしようと考えていた。 そのため、15000円を割り込み始めた急落を止め、16000台まで急反発させるための手を打ったというわけである。 つまり、ここ数日の株価の上昇は一般投資家の株買いで上がったのではなく、政府と日銀がらみの政策買いによるものだったのだ。
その証拠に、年金資金の投入が終わった昨日や今日の東京市場はニューヨークのダウ平均が230ドルも上げたというのに、16000台を挟んださえない取引が展開されており、1200円急騰の勢いはすっかり消えてしまっている。 中国や欧米市場の状況次第では再び15000円割れに向かうことになるかもしれないが、問題は10000円割れに向かった場合である。
その時には、大量の年金資金を株式市場に投入することを決めた安部首相はどうするつもりか。 衆議院予算委員会で、最近の株価下落で運用損が拡大してきていることに関連し、彼は平気な顔をして、「株価が下がり運用損が出れば、当然年金の支給額は減らさざるを得ないでしょう」と答弁している。 自分さえ良ければ国民のことなどどうでもよい。 これが政治家の正体である。
一方、これと同じ操作が為替市場でも行われている。 日銀の狙いは、株の下落で一気に円高に向かい一時110円まで急上昇した円高を、115円台まで戻すことである。 円安はアベノミクスの拠り所であっただけに、110円を超す円高は致命的である。 しかし、世界の金融市場の流れを止めることは出来ない。 世界的に株安は進み、ドルは暴落する。 安倍首相と
黒田日銀総裁が目論んだアベノミクスとやらは、一瞬にして藻屑と消えることだろう。