戦闘は続き、難民は増え続ける
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和平協議が25日まで中断されると発表する国連のデミストゥラ特使
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世界が注視する中、内戦終結を目指してジュネーブで開催されていたシリア和平協議は、早くも頓挫。 国連代表部がシリア政府や幾つかの反政府勢力と個別に協議している段階での中断は、協議がいかに難しいかを示している。 このままでは、参加者が一同に会して話し合うこともないまま、終わってしまうことになるかもしれない。
そんな中、シリア北部の第2の都市アレッポでは、ロシアの空爆に援護されたシリア政府軍の猛攻で、街を支配下に置いている反政府軍は苦戦。 市民にも多数の死者が出ており街は混乱
。 避難を余儀なくされた多くの市民が、手に持てるだけの荷物を抱えて、トルコとの国境の町・キリスを目指して移動している。
新しい情報ではその数は6〜7万人に達しており、さらに30万人に増えるとの予測もある。
しかし、トルコ政府は国境を封鎖しているためそこから先には進めず、国境沿いに設置されたキリス周辺の難民キャンプに留まり、厳しい寒さの中、入国の許可が出るのを待っている。 避難先のトルコは既に250万人以上の難民を受け入れており、これ以上難民を増やすことが難しい状況にある。 最近、EC諸国が難民の受け入れを拒否しているため、一端入国を許せば自国に留まることになるからである。
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この2枚の写真を見ると、IS(イスラム国)が単なるテロ集団でないこと
が分かるだろう。 主要都市でこんな勇ましい軍事パレードをするテロ組織など
見たことがない。 裏に巨大な組織が着いていない限りこんなことはあり得ない。
イスラエルや米英の一部は、ハルマゲドンの牽引役としてISを登場させたことになりそうだ。
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昨年9月28日から始まったロシアのシリア空爆はその後も止むことなく続けられており、最近はシリア国内の空軍基地に配備された最新鋭戦闘機も投入され、毎日何十回もの空爆が行われている。 その結果、IS(イスラム国)は相当の打撃を受けており、数千人を超す戦闘員がシリアからヨルダンやヨーロッパに逃れていると言われている。
一方、1年以上にわたって行われてきた米国を中心とした有志連合のIS(イスラム国)への攻撃は、重要な拠点や戦闘員が多くいる施設が狙いから外されてきたため、一向に効果を上げていない。 なぜか? ISを裏で支援している米国や英国にはISをつぶす意図がないからである。
しかし、ISの実体を熟知しているロシア政府はアサド政権の崩壊を防ぐため、本気でIS壊滅に向かって攻撃を仕掛けている。 だからこそ、ISの資金源である石油施設や輸送車の列に爆弾を落とし
たり、彼らの主要な拠点を破壊しているのである。
ただ、ロシアが狙っているのはISだけではないことも事実である。 米国や英国が支援している反政府勢力の拠点も数多く破壊してきており、その一つがアレッポで
ある。
ロシアの参戦はアサド政権支援のためであることを考えれば当然のことである。
こうした米国やロシアの裏事情がどうあれ、泣きを見るのはいつものことながら一般市民である。 彼らは家を失い家族を亡くし、難民となって生まれ故郷の国を捨てることになる。 今回のアレッポへの空爆が、いかに激しいものであった
かは難民の数の多さが示している。
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政府軍と反政府勢力の戦いの犠牲になっているアレッポの街
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こうして見てみると、現在行われているシリアの和平協議は、シリア政府と反政府勢力の協議と言うより、ロシアと米国・英国の駆け引き合戦であることが分かる。 アサド政権の維持と
アサド退陣を狙う両者の裏駆け引きは、これから先いかなる方向に進むのだろうか。 そう遠くない内にその姿が見えてくることだろう。
もしも、26日以降開始される和平協議が再び頓挫するようなことになれば、シリア情勢のみならずイラクやイエメン、リビアなどの国々の混乱は一段と激しさを増すことに
なるのは間違いない。 それはまた、中東の恒常的な混乱を願うイスラエルの意図に沿ったものとなり、ヨーロッパを目指す難民の増加を加速させることにもなる。
その結果、難民の急増は受け入れ側のEU(欧州連合)の混乱もまた一段と増すことになる。 中でも心配なのはドイツのメルケル首相への影響である。 昨年、首相の意向で100万人を越す難民を受け入れたドイツでは、アフリカ系難民の集団的暴力事件の発生を転機に、難民の受け入れに反対する人の割合が多くなり、
ここに来てメルケル首相の支持率も40%台に急落している。 首相が対策案を出さない限り、退陣要求にまで発展しそうな状況となっている。
これまでギリシャ問題や難民問題など、EU(欧州連合)が直面した幾つかの難問をなんとか乗り越えてこれたのは、メルケル首相の統括力があったればこそであった。 それだけに、もしも首相が退任するようなことになれば、EUもユーロ圏も一つにまとまることが難しくなり、混乱状態に陥ることになりそうである。
退任するにしろ留まるにしろ、メルケル首相の一挙一動が、これから先、世界の注目を浴びることになるのは「謹賀新年」に記したように、
首相が「The
Economist 」新年号の表紙の中心人物に描かれていることを考えると、間違いないようだ。
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こんな状況下では日常生活を過ごすことが出来ない
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アレッポを追われた市民はトルコを目指して避難を始めた
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難民施設でどうにか食事にありついた避難民の子供
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トルコがだめなら自分たちの行き先は無くなってしまう。
「私たちはどうやって暮らしていったらいいの!」と訴える避難民
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