食糧危機発生の前兆
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水位が減り、ダム湖の底が見え始めた油木ダム。
(福岡県添田町、6月22日撮影) |
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昨日の記事で米国中西部一帯が洪水や強風、竜巻や雷など様々な異常気象に見舞われていることをお伝えした。実は同じ米国・北東部のモンタナ州では、6月20日、
時期外れの初夏に大雪に見舞われたようである。モンタナ州とほぼ同じ緯度にある同じ北の地・北海道で、5月26日に39・5度という信じ難い高温を記録
したのとは、真っ逆さまの現象であった。
先日、四国の高知県と九州の福岡から徳乃蔵に来られた方が、未だ四国も九州も梅雨入りが宣言されていないのです
と異変を語ってくださった。驚いて早速調べてみたところ、九州北部(山口、福岡、大分、佐賀、熊本、長崎)の梅雨入りに関しては、過去に最も遅かった記録・6月22日を更新することになったようである。
そうした動きは四国でも同じであった。
そのため、福岡県内の18の主要ダムの平均貯水率は大きく下がっており、平年同時期なら約80%なのに、今年は21日現在で37%と激減。中でも添田町にある油木ダムは14%近くまで下がっており、上に添付した写真のよう
に、湖底の底がひび割れ状態になっている。
同じ九州でも南九州はすでに梅雨入りしていることになっているが、雨の日が少なく薩摩地方では平年の30%、大隅地方では44%と広い範囲で雨量が極端に少なく、水不足が続いている。そのため、田んぼがひび割れし、稲の生育に影響が出始めているようである。
これから先の週間天気予報を見てみると、明日26日あたりから雨模様になっているので月末までには梅雨入りすることになるようだが、北の北海道が5月に異常高温に襲われているだけでなく、南の九州地方も「梅雨入り」が平年の6月5日に比べて20日以上遅く、「梅雨明け」
の平年日よりも1週間も遅いのは、相当な異常気象ということになりそうである。
世界各地で広がるの異常気象
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凍結して収穫k不能となったフランスのトウモロコシ
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異常気象による農作物への悪影響の様子を世界規模で見てみると、真っ先に目に飛び込んでくるのが米国やオーストラリア、インド、中国、フランスなどの厳しい状況である。そしてそれは世界的な食糧危機到来の予兆を見せてくれているようである。
米国は繰り返しお伝えしている通り、大雨による洪水や寒波などにより広い地域で被害が広がっているが、中東部の農作地帯では「農作自体を放棄せざるを得ない」状況と化している。またフランスでも春の寒波と直径が10センチを超す巨大な雹(ひょう)の影響で、ワイン用のブドウやトウモロコシなどの収穫が絶望的な状況になっている。
オーストラリアは小麦や大麦の産地として有名で、世界各国に輸出してきている国である。ところがここ数年、干ばつの影響で生産量が落ち込み、輸出するどころかカナダから輸入する状況と化しているのである。輸出大国が輸入国となるという事態は尋常ではない。
そうした厳しい状況を知らしめているのがオーストラリアのシンクタンク・ロウイー研究所が行った調査結果である。 研究所が発表したデーターでは、「オーストラリアの脅威」は何か?と問うたところ、回答者の64%が「気候変動」を挙げ、「サイバー攻撃」や「テロ」を上回りトップになっていたのである。
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インドの北部のデリーでは史上初となる48℃を記録。
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まさにこの調査結果は、オーストラリアの「気候変動」による生活面への影響がいかに大きくなっているかを示している。今オーストラリアは冬であるが、全土の3分の2が最低気温が氷点下となっているようで、こうした状況も10月以降の畑作や稲作に悪しき影響を及ぼしそうである。
一方、フランスの寒波とは反対に猛暑に襲われているのがインドである。インドでは5月中旬頃から平年ではありえない高温が続いており、北部のデリーでは史上初となる48℃を記録している。
インドでは猛暑だけでなく大規模な干ばつも広がっており、特に南部の干ばつはひどく、タミルナドゥ州の州都であるチェンナイに水を供給する4つの貯水池はほぼ枯渇しており、数百万人が深刻な水不足に直面している。
この猛暑で北部を中心にすでに200人以上が亡くなっており、南部では水の供給を当局が怠っているとして市民らが市の庁舎に押しかけ、500人を超す人々が逮捕される事態が発生している。猛暑と渇水もここまでくると、もはや死活問題である。こうした状況は遠からずして食料の価格の高騰を経て、やがて食糧危機へと繋がることになるのである。
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インドでは熱波で2000人が死亡。
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