緊張感を増す「米軍対イラン」情勢
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米軍のサイバー部隊によって狙われたイランのミサイル (英国BBCニュース)
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刻々と厳しさを増して来ている世界情勢。その最前線にあるのは経済面では米中の貿易摩擦であり、紛争面では米国とイランとの対立である。米中貿易摩擦の先行きは、月末に我が国で開催されるG20首脳会議での、トランプ大統領と
習近平主席との会談の結果待ちと言うところである。
一方、米国とイランとの対立状況は日に日に深まる一方である。 先日、ホルムズ海峡で2隻のタンカーが爆撃された件については「ホルムズ海峡で再びタンカー攻撃」でお伝えした通りである。
その後、イラン軍は米国の無人偵察機がイラン上空を侵犯したとして、ミサイルで撃墜。
それに対する報復攻撃として米軍がイランのレーダー施設やミサイル発射施設など数カ所を爆撃する直前、トランプ大統領が攻撃命令を撤回した結果、事なきを得た。つい2日前のことである。
大統領が一般市民の死傷者の発生による国際世論の反撃を恐れたからである。
ところが23日、米軍のサイバー部隊がイラン軍のミサイルやロケットをコントロールするシステム装置を狙ってサイバー攻撃を実施。こうしてまた一歩、中東情勢が危機的状況に近づくこととなっ
てしまった。 サイバー攻撃というのは、爆撃弾を使うのではなくネットワークを通じてコンピューターシステムを破壊することで、今米国だけでなく中国やロシアもその開発に力を注いでいる手段である。
爆弾は使わないため人身的危害は発生しないものの、イラン軍の戦闘能力に大きな危害を加えることに変わりはないだけに、時を置かずしてイランによる報復措置が取られる可能性は大きい。どうやら、中東情勢はこれから先、また一段と危機的状況へと進むことになりそうである。
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緊張した面持ちで語る国連のグテーレス事務総長
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こうして情勢を受けて国連のグテーレス事務総長は記者団に次のような警告を発している。「我々は鋼(はがね)のような神経をもってどのような形であれ緊張が高まることを絶対に阻止しなければならない。世界には中東で大規模な紛争を抱える余裕などないのです」。
私が「米国対イラン紛争」に恐れを感じているのは、米国の政局が今二つに割れて争っている点である。イランとの核合意離脱や制裁強化に反対する者と、ポンペオ国務長官やボルトン大統領補佐官たちなどイランへの攻撃を強行すべきだという者たちとの二つのグループである。
もともと米国がイランに厳しい対応をとっているのは、既にお伝えしてきているように、イランがイスラエルに対抗する最大の敵国であるからである。今回のサイバー攻撃と時を合わせてボルトン補佐官がイスラエルを訪問しているのも、ネタニヤフ首相に米国のイランへの強硬姿勢を伝えるためであることは間違いない。
トランプ政権は2017年4月と2018年4月に、中東シリアで、アサド政権による化学兵器使用疑惑が浮上した際、政権側の軍事施設を攻撃している。これに対してアサド政権には米軍に反撃するすべ
がなかったため、何も出来ないまま終わってしまった。しかし、イランは中東屈指の軍事力を誇り、米軍に反撃する能力を保持しているのだ。
そのため、両国間の争いがエスカレートした際には、戦いの場はイランだけでなく、米軍とイラン軍が常駐しているシリアとイラクにおいても、
本格的な軍事衝突が起きる可能性は十分にあるのだ。どうやらこれから先、米中間の貿易戦争だけでなく、米国対イラン紛争からも目が離せなくなって来そうである。
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イランが公表した撃墜した米国の無人偵察機の残骸。
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ホルムズ海峡に派遣した米軍の空母から爆撃機が
飛び立つ時は、新たな中東戦争の始まりである。
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米国・中西部を襲う自然災害
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テキサス州で発生した竜巻 (米国・ABCニュース)
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軍事力と経済力を背景に世界を混乱に導いている米国であるが、そうした愚行に対する戒めとして天が下しているのが、米国全土にまたがる自然災害である。今朝の米国ABCニュースは23日夜中西部一帯を激しい嵐が襲っていることを伝えており、明日以降、東部一帯に被害が広がりそうである。
テキサス州やコロラド州など4つの州で5つの竜巻が発生。ミズリー州やオハイオ州では洪水が発生し道路は河と化して商店が浸水。カンザス州では激しい雷雨でミュージックフェステバル会場が観客の避難で大混乱。イリノイ州では強風で高校のフットボール競技場の観客席が崩壊。
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ミズリー州の洪水被害
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カンザス州では激しい雷雨でミュージック会場の観客が逃げ惑う
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イリノイ州では強風で家屋の倒壊
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