国防総省が1万人の追加派兵を要請
米国が原子力空母とB52爆撃機をホルムズ湾近海に派遣していることや、イラクの首都・バグダードの大使館と領事館の職員の一部を国外待避させる措置をとったことは、既に「さらに緊張感高まるイラン情勢」などでお伝えして来た通りである。そうしたイラン情勢の緊張が高まる中、今朝の米国ABCニュースは国防総省がホワイトハウスに対し、中東へ1万人の追加派兵を提案したことを伝えていた。
トランプ大統領はイランとの戦争は望んでいないと発言しており、先にシリアからは兵士の撤退を実施しているだけに、国防総省の要請を即受け入れるとは思わないが、もしも受理したとなると、投入する兵士の数は現在シリアとイラクに駐屯している兵士の2倍となるだけに、イラン情勢に対する緊張が一段と高まることになりそうである。
私が対イラン戦争勃発の可能性を危惧しているのは、イランに対する強攻策の裏にいる人物がジョン・ボルトン大統領補佐官であることである。安全保障政策を担当しているボルトン補佐官は元ブッシュ政権で2001年から2005まで軍縮担当の国務次官を務めていた人物で、イラクのフセイン政権の脅威を訴え、政権を戦争へと導いた保守強硬派のいわゆる「ネオコン」であるのだ。
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イラク戦争を引き起こした人物の1人・ジョン・ボルトン大統領補佐官
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彼はブッシュ元大統領に対し、イラクのフセイン政権は核兵器などを保有しており、いつ使用するか分からないと、その危険度を理由にイラクへの攻撃を進言したのである。しかし、実際に米軍がイラクに攻め入りチェックをしたところ大量破壊兵器は全く見当たらなかったのである。
ボルトン氏らネオコンはみずからの国益しか顧みない「一国行動主義者」で、イラク侵略の真の狙いは中東における米国の覇権強化とイラクの石油の確保であったのだ。リビアのカダフィー政権も同様なやり方で転覆させられたのである。彼らが「闇の勢力」と繋がっていることも忘れてはならないことである。
トランプ大統領がブッシュと同じように彼らの意図に従って行動に出るとは思えないが、今回の1万人の兵士の増員要請の背景にはこうした事情が隠されていることだけは頭に入れておいた方が良さそうである。
ボルトン補佐官は北朝鮮問題に対しても、昨年の2月に「脅威は迫っており最後まで待つべきではない、米国が先に攻撃することは正当だ」と発言していることも付記しておく。 彼は金正恩一族が最も恐れている人物の1人でもあるのだ。
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