イスラエルよりの政策を続けるトランプ政権。昨日、イスラエルが最大の敵国と見なすイランに対して実施してきた、イラン産原油の輸入禁止制裁をさらに強固なものにすることを発表。
輸入禁止制裁については、これまで日本を始め中国、韓国、インド、台湾、トルコ、イタリア、ギリシャなど8ヶ国から強い反発もあり、これらの国を制裁の対象外としてきていた。つまり、8ヶ国は従来通りイランから原油を輸入することが出来ていたわけである。しかし、5月2日以降は輸入をしようとすると米国からの制裁を受ける事になったというわけである。
イランからは早速、ハタミ国防相が「トランプ大統領の政策は世界を危険におとしいれ、国際法を犯すものだ」と反発。またイラン革命防衛隊の司令官は「ペルシャ湾のホルムズ海峡の封鎖も辞さない」と対抗措置の発動もあり得ると発言。
一方、制裁の対象外となっていた国々のうち、イランの隣国トルコのチャウシュオール外相も「一方的な制裁や隣国イランとの関係に対する押しつけを拒否する」と強く反発。また中国外務省も「米国の一方的な制裁と干渉に断固として反対する。中国の利益と懸念を尊重し、利益を損ねる間違った行動を取らないよう強く求める」と発表。
イラン国内では原油輸出による収益が国の収入の40%を占めているだけに、さらなる原油輸出量の減少によって、もしも1日あたりの輸出量が100万バレルを割ることになるようだと、経済的打撃は一段と増すことになる。
問題はトランプ政権による今回の措置に対してイランがどう出るか?である。 すぐに核合意離脱による核開発再開やホルムズ海峡の封鎖措置に出ることはないと思われるが、イスラエルとの関係悪化を含めて、世界的な政治情勢が一段と厳しさを増すことは避けられそうになさそうである。
もう一点心配なのは原油価格の高騰である。先月までは1ドル当たりの価格が50ドル台で安定していたが、4月に入って60ドル台となり、今回の米国政府の発表を受けて一気に66ドルに急上昇。これ以上の上昇はないものと思われるが、もしも70ドル台まで上昇するようなら、世界的な経済悪化が懸念されるだけに心配である。